長崎の被爆2世シンガーが反戦歌「平和の警鐘(かね)」発売 CD売り上げは全額寄付

「平和の警鐘(かね)」を持つ北城裕士さん

「平和の警鐘(かね)」を持つ北城裕士さん

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 長崎市在住のシンガー・ソングライター北城(きたじょう)裕士さん(58)が5月、反戦歌CD「平和の警鐘(かね)」を自主制作した。

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 大学生のころから平和の歌を歌い続けてきたという北城さんは、普段は別の仕事を持っているため、マイペースでひっそりと活動を続けてきた。「シンガー・ソングライターと知って驚く友人たちには、『普段の僕は世を忍ぶ仮の姿』と説明している」とほほ笑む。

 旧海軍飛行予科練習生(予科練)だった北城さんの父親は、長崎に原爆が投下された8月9日、当時15歳で被爆した。自宅に戻った父の目に映ったのは、黒焦げになった弟と妹。縁側で将棋を指したままの姿だったという。「わずか15歳で弟や妹のそんな姿を見た父の気持ちは、息子の僕にも想像できない。しかし2004年に亡くなる直前まで40数年間、僕にずっとその話を聞かせてきた父の気持ちは分かるような気がする。僕の原点がそこにある」と北城さん。

 北城さんは昨年、平和を守るメッセージを込めた歌「あじさい」などのCDを制作。約1500枚の売り上げ金は長崎平和推進協会(長崎市平野町)に全額寄付した。「昨年のメッセージは『平和を守ろう』だったが、今回のタイトルは一歩踏み込んで『平和の警鐘』。感じ方は人それぞれだろうが、平和を守り抜く強い意志がなければ戦争へと再び流される時代がやってきた。僕一人がいくら声を出しても変わらないかもしれない。それでも僕たちは戦争を知る親たちから、直接語り継がれてきたことを肌身で知る最後の世代。警鐘を鳴らし続けて戦争を阻止する責任がある」と力を込める。

 フォーク調のメロディーに乗せ「今ならばまだ間に合う。今ならば止められる。無駄に戦い散り行く命を」と訴える同曲は、「夢と希望そして平和、いつまでも守り抜くために」と締めくくられており、ユーチューブで聞くことができる。

 北城さんは「平和のための行動としてCDの売上金全額を長崎平和推進協会に寄付することにした。曲を聞いて何か感じてもらえたら、1枚でも2枚でもいいので力を貸してほしい」と呼び掛ける。

 価格は500円。北城さんのブログ「南野島男のGood Times」のコメント欄から問い合わせる。

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