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長崎で人材教育プログラム「ヤングアメリカンズ」初開催

「ぜひ説明会に来てください」と呼び掛ける村津さん

「ぜひ説明会に来てください」と呼び掛ける村津さん

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 長崎市平和会館ホール(長崎市平野町)で7月3日~5日、日米の若者がミュージカルワークショップを通して本当の自分を表現する人材教育プログラム「ヤングアメリカンズ」が開催される。主催はNPO法人じぶん未来クラブ。

ワークショップの様子

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 ヤングアメリカンズ(YA)は、ロサンゼルス郊外のコロナに本部を置く米国の非営利団体。世界各地から集まる10代後半から20代の「キャスト」と呼ばれる若者たち約300人で構成されており、音楽を通じた教育と公演を2本柱として活動する。今年の日本ツアーは4月に来日。東京会場を皮切りに、大阪、兵庫、京都、三重、奈良、広島と移動した後、九州で初めて開催される。開催地は北九州市(6月26日~28日)と長崎市の2都市。

 同団体は1962(昭和37)年、高校の音楽教師だった、ミルトン・C・アンダーソンさんが「米国の若者の素晴らしさを、音楽を通じて社会に知らしめたい」と考えて設立した。踊りながら合唱する若者たちの姿はメディアからも注目を浴び、1960年代には当時の大スター、ビング・クロスビーやエド・サリバンらと音楽番組で共演。70年代にはアメリカ建国200年式典に招かれ、祝賀パフォーマンスを披露した。1968(昭和43)年から1992(平成4)年にかけて日本公演が9回開催されている。

 90年代初頭にスタートした人材教育プログラム「アウトリーチ」は米国の教育予算が大幅に削減されたため、学校現場から音楽の授業が次々に廃止されていく事態に危機感を覚えたアンダーソンさんが「出張授業」としてフロリダ州の学校にYA派遣を始めたことがきっかけ。今ではキャスト50人と、主に小学生から高校生の受講生200人から300人が3日間のワークショップを体験し、最終日に約1時間の歌とダンスのショーを全員で作り上げるプログラムとして提供されている。受講生らはワークショップを通じて自分を自由に表現することや、仲間と一緒に何かを作り上げるという「実体験することの素晴らしさ」を学ぶ。2002年からはヨーロッパでもツアーがスタートした。

 受講生を指導するキャストはオーディションに合格した入団者の中から選ばれ、毎年世界各地から集まる約4000人の若者の中から入団が許される人は100人ほど。その後、8カ月間におよぶ厳しいトレーニングが待っており、「ジャズ」「タップ」「クラシック」「ヒップホップ」など幅広いジャンルのダンスレッスンに加え、多彩な合唱の各パートを短期間でマスターしなければならない。さらに「発達心理学」「教育学」「教授法」などの必須科目を学び、麻薬中毒患者の更生施設、少年院や孤児院など過酷な環境下にある子どもたちに対する教育実習など、日本の教育環境ではほとんど体験することがない内容を全て履修した後、アウトリーチツアーのキャストに「応募する資格」をようやく得ることができるという。今回の日本ツアーでは40人のキャストが来日している。

 長崎のイベントを担当する村津珠希さんは「日本では2006年から『じぶん未来クラブ』が主催者として取り組むようになった。当初はなかなか関心を持ってもらえず、必死で集めた最初の春ツアー参加者はわずか654人だった」と話す。

 2009年、知人に同NPOを紹介されて職員になった村津さん。前職では人間関係に悩み、退職してアルバイトに熱中したが「バイトでは何も生み出せない」と突然気づき、無力感でいっぱいになったという。同NPO代表の佐野一郎さんから「ヤングアメリカンズを知ってしまった以上、全力で取り組まないわけにはいかなくなった」と事業に対する思いを聞かされ、「それまでの私はずっと中途半端。いろいろな言い訳をして逃げていただけの自分に気づいた。私も退路を断って一緒に取り組みたくなった」と振り返る。

 当初は米国のように学校開催方式を目指したが日本ではうまくいかず、試行錯誤の末に地域のサポーターとともに作り上げる「地域開催方式」と法人開催方式が事業の柱となった。活動に大きな転機が訪れたのは2011年。同年3月に発生した東日本大震災がきっかけとなり、同年9月に13人のキャストによる初めての東北ツアー(1カ月間)を実施した。その後、日本の文部科学省やアメリカ大使館からの支援を得て、2012年からはフルキャストによるツアーが実現。公立の小中学校を中心に学校の授業の一環として採用され、さらに教員研修、ファミリーワークショップなどの取り組みへと拡大。東北ツアーは2011年に1055人が参加し、3879人(2012年)、6499人(2013年)、7013人(2014年)と毎年参加者が増加している。

 村津さんは「ワークショップの目的は『ありのままの自分を表現する』こと。エネルギーと情熱が込められた3日間は子どもたち一人一人に自信を与え、大きな人生の転機になるはず。自分では出来ないと思い込んでいた子どもが、やり遂げた時の笑顔は本当に輝いている。子どもが専門の訓練を受けたキャストのサポートで大きく成長できる機会はなかなかないと思う。これまで参加者の多くがリピート参加している。ぜひ説明会でその雰囲気を味わってほしい」と呼び掛ける。

 長崎会場は小学生100人、中高生50人を募集する。参加費は1万8000円(受講料、Tシャツ代、観覧者用無料ショーチケット1枚を含む)。説明会は十八銀行本店近くのジブラルタ生命保険(出島町)7階研修室で6月19日(11時、15時、17時、19時)と20日(10時、15時)の各回開かれる。

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