長崎・諏訪神社で「子ども流鏑馬体験会」 156年ぶりの神事復活をきっかけに

馬上から的を狙う若浦さん親子

馬上から的を狙う若浦さん親子

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 諏訪神社(長崎市上西山町)境内で8月7日、子ども流鏑馬(やぶさめ)体験会が行われた。主催は「ながさkids」。

本田さんが的を射抜いた瞬間

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 体験会に協力した長崎諏訪流鏑馬奉賛会(油木町)は2013年、江戸時代後期まで長崎くんちで行われていた流鏑馬神事を復活。長崎くんち前日(まえび)の10月7日朝に本殿前で毎年奉納している。

 きっかけは1634年から続く諏訪神社の例大祭「長崎くんち」の御神幸(お下り、お上り)行列に、調達難のため馬がいない状態が2008年から続いていたこと。同神社は2011年、流鏑馬「葉隠神正流(はがくれしんせいりゅう)」を受け継ぐ乗馬クラブ「バルパロ」(佐賀県白石町)からサラブレッド3頭を借り受けることで4年ぶりに馬を復活させた。翌2012年、長崎くんち前日(まえび)に止まった馬上から矢を射る「的射(まとい)神事」を披露。2013年には1857(安政4)年の大火で以前の諏訪神社が焼失して以来、途絶えていた流鏑馬神事が156年ぶりに復活した。

 13時から行われた体験会に参加した子どもは38人。保護者を含め80人以上の親子が参加した。受け付けを済ませた後、子どもたちは長崎諏訪流鏑馬奉賛会メンバーらの指導で矢を射る練習を行った。練習が一通り終わると、同会代表の本田殖也さんが狩り装束で登場。本田さんは長崎市内で豆腐料理専門店を経営する傍ら、葉隠神正流の射手(いて)として活躍しており、馬を走らせながら的を射抜くと観衆から大きな拍手が起こった。

 練習を終えた子どもたちは一人ずつ奉賛会メンバーらが誘導する馬に乗り、的の前までゆっくり移動して止まった馬の上から的に矢を当てた。小さい子どもは保護者が同乗して背後からサポート。奉賛会メンバーらは、的に当たらない子どもには「もう一回」と当たるまで励まし、的まで矢が届かない子どもには届く距離まで的を近づけた。

 長崎市内に住む若浦弥里さんと光希ちゃん(2)は、親子とも馬に乗るのは初めて。「息子が動物好きなので参加した。夫も私も高校時代からの弓道経験者だが、馬上では勝手が違う。楽しい思い出ができた」と弥里さん。光希ちゃんは「とても面白かった」と笑顔を見せた。

 体験会終了後は境内に本格的なコースが作られ、本田さんが馬を疾走させて流鏑馬を3本ほど披露。矢が大きな音を立てて実際に的を射抜くと、集まった観衆からどよめきと拍手が起こった。「知っていたら体験会に参加していた。残念」と親子連れの参拝客が悔しがる一幕も。

 本田さんは「射手になるには馬3年、弓1年と言われ、厳しい承認試験もある。大変な努力と忍耐もさることながら、技量だけでなく心の修業もあるので簡単にはなれない。それでも我こそはと熱い心がある方は、ぜひ挑戦してほしい」と呼び掛ける。

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