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大浦町に本のセレクトショップ 本を通して「居場所づくりのきっかけに」

オリジナルのブックカバーを手にする店主の古屋さんと娘の幸香さん

オリジナルのブックカバーを手にする店主の古屋さんと娘の幸香さん

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 書店「Book with Sofa Butterfly Effect(ブック ウィズ ソファー バタフライ エフェクト)」が4月15日、長崎市大浦町にオープンした。

店内の様子

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 店主・古屋桂子さんの好みで選んだという本やレコードなどが並べられた店内は、机やベンチを備え、客が店内で作家や本について語りながらコミュニケーションが取れるようにした。本を購入すると、京都のマトリョーシカ・こけし作家のいちかわともこさんがデザインを手掛けたオリジナルのブックカバーがもらえるという。

 長崎市の出身の古屋さんは、21歳で結婚を機に東京へ移り住み、保険の営業などの仕事をしていたが、2011年3月11日に発生した東日本大震災の後、首都圏でも原発事故の影響があるのではないかという懸念から、故郷である長崎で子育てすることを決意したという。子育てをしていく中で、娘やその友達といった子どもたちが打ち明ける悩みを聞くうちに、子どもが生きづらい世の中になっていると感じたことが、書店を始めるきっかけだったという。

 「私が子どもの頃、大人が本を読んだり、作者について語っている場に混じって勝手に本を読んだりしていた。教科書に登場する有名な小説家がゴシップ的に面白おかしく語られている姿を見て、本を読むことが好きになったと同時に、『正解』や『正しい』と言われないものに『本当』があると感じるようになった。立派な偉人として取り上げられる作家やアーティストにもそうでない部分もたくさんあるのに、いい面だけを取り上げることで立派に生きないといけないように映ってしまうのではないかと思う。リアルな部分も知ってもらうことで、こういった苦しさをなくせるような場をつくりたいと考えていた」と話す。

 「もうすぐ中学生になる娘が自分の本棚を探って哲学書などを読む姿に、自分で読む本を選んでもらわなければいけない歳だが、選ぶための指標がないと感じた。自身が子どもの頃のように、大人たちが本を面白おかしく語り合える場をつくることで、子どもたちが自分から本を手に取れる環境づくりをするだけでなく、本の中に居場所があることを伝えられれば」とほほ笑む。

 オープンして最初の週末となる20日・21日は、3回にわたってゲストが選ぶ文学の中にある「生と死」をテーマに作品を紹介しつつ語り合うイベントも企画している。古屋さんは「出向かないとコミュニティーに参加できないのは時代遅れ。オンラインでも参加できるようにしている」と言う。今後も本を楽しめる企画を行う予定で、「聞くだけでもいいので、ぜひ参加してみてほしい」と呼び掛ける。

 イベントは20日11時~と18時~、21日14時~、それぞれ1時間30分。参加費は1回500円、3回1,200円でコーヒとカステラが付くという。申込みはフェイスブックページから受け付ける。

 営業時間は、月曜~金曜=11時~19時、土曜・日曜・祝日=9時~18時。水曜定休。

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