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長崎で歴史と文化を伝えるスイーツギフト開発プロジェクト

日本の伝統色を取り入れたパッケージ

日本の伝統色を取り入れたパッケージ

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 長崎の砂糖文化を広くアピールしようという「お慶さんの頂きものプロジェクト」が現在、「長崎らしい、新しい伝統のスイーツ」の開発を行っている。

会見に臨むプロジェクトメンバー 前列左から2番目が竹中さん

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 同プロジェクト代表の竹中晴美さんは幕末から明治初期に日本茶輸出の先駆者として活躍した「お慶さん」こと大浦慶の志に感銘を受け、35年前に女性が主役の街歩きイベント「長崎ウーマンズ・ウォークラリー」を開催。毎年、「女性の目から見た長崎再発見」をテーマに長崎で活躍した女性たちのゆかりの地をめぐるイベントとして行ってきた。

 3年ほど前から「イベントだけでなく長崎に何かを残したい」と考えていたという竹中さん。江戸時代に唯一の貿易港として開かれていた長崎では輸入品の1つとして砂糖があったことから、長崎街道を通じて砂糖文化が全国に広まったとされ、2020年には「砂糖文化を広めた長崎街道~シュガーロード~」として日本遺産にも認定されている。竹中さんは江戸時代に長崎から日本に広まった砂糖と共にお慶さんが長崎から世界に広めた茶葉を「伝来物」として捉え、長崎の縁がつながって長崎の歴史と文化を伝える「プライド・ギフト」を作りたいと考えたという。

 自案を知り合いで長崎市内の和菓子店社長に相談したところ快諾してもらうことができたという。ある洋菓子店の社長にも思いをぶつけ「うちでよければやりましょう」と返事をもらえたことから「プロジェクトを立ち上げた」(竹中さん)と振り返る。

 プロジェクトでは「長崎らしい、新しい、伝統のスイーツ」をテーマに長崎プライドを感じることができる和と洋のスイーツをそれぞれ開発することにした。新しいお菓子を開発するだけでは意味がないと考えた竹中さんはパッケージにもこだわり、和服のたたみ方に着想を得た外装にはお慶さんが大切にしていたという「花菱」の家紋を取り入れるとともに「伝来物」の文字を入れた。パッケージには日本の伝統色「桜色」「うぐいす色」も取り入れた。

 「慶(けい)」と名付けた和菓子は「シュガーロード」にあやかり砂糖をふんだんに使うといい、「之(これ)」と名付けた洋菓子はお慶さんが世界に広めたことから長崎県東彼杵で生産されている「そのぎ茶」を使うという。いずれも開発中。「初めて試作を食べたとき思わず笑顔がこぼれるほどおいしかったが、職人は満足することなく何度も試作をし、問題点を改善しながらどんどんブラッシュアップしてくれている」と明かす竹中さん。「スイーツの道は甘くなかった」と思わず口にする場面もあった。

 「幼少期に長崎に移り住んだことから家庭の中に長崎の文化がなく、大人になって知ったことで新鮮に感じるとともにうまく伝えることができていないと感じた」と話す竹中さん。6月30日からクラウドファンディングも立ち上げていることについて「35周年を迎えるウオークラリーではたくさんの宝物に出合うことができた。胸を張って出せるような長崎のお菓子をクラウドファンディングで広めることで、お慶さんのことをもっと知ってもらうきっかけになるのではないか」と期待を寄せる。「パッケージを見た人が、甘い文化の長崎でどんなお菓子が生まれたのかというわくわく感とともに応援してくれるお菓子を目指したい」とも。

 クラウドファンディングは8月9日まで。リターン品には開発中のスイーツなどを用意する。

 和洋2つの菓子は8月中旬、開発に携わった菓子店とともに発表。お慶さんの偉業にあやかりお茶の日になっている11月1日に一般販売を目指している。

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