戦争問うPV「重たい銃」、長崎の歌手・果里さんがユーチューブで公開

PVの最後に登場する幼少期の果里さんの母

PVの最後に登場する幼少期の果里さんの母

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 長崎在住の歌手・果里さんが4月25日に発売するアルバム「ユウトソラ」の収録曲「重たい銃」のプロモーションビデオ(PV)を3月15日、動画共有サイトのユーチューブで一般公開した。

若者の頭上に2機の軍用ヘリが旋回するシーン

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 果里さんは1990年から長崎でバンド活動を始め、1994年に上京。大手プロダクションでアーティストの仮歌(実際の歌手にイメージをつかんでもらうため代わりに歌うこと)やコーラスを務めた後、渋谷を中心にライブ活動を開始。その後、東京を中心に関西方面まで活動範囲を広げ2006年に長崎に帰郷。現在は年2回の全国ツアーを行うなど、長崎を中心に積極的な活動を展開している。

 「子どものころから母の兄が戦死した話をよく聞かされていた。自分の中では遠い過去のような感じがしていたが、ツアー先で『長崎出身だから平和の曲を作っては?』とよく言われた。でも、経験がなくて本来の痛みを知らない自分には『書かない』のではなく書けなかった」と話す果里さん。一昨年の冬、果里さんが母親と話をしたときに「母の中では兄にかわいがってもらった幼少期の記憶で時間が止まっている」ことを強く感じたという。「今さらだが、戦争という人間が作り出した憎しみの塊について考えるようになった。多くの人が犠牲になった過ちを、今の自分たちが繰り返さないためにも何かをせずにはいられなくなった。その結果として、この曲ができた」と振り返る。

 PVを製作したのは果里さんの知人で日本工学院専門学校CG科講師の原田一平さん。約4分強のPVでは現代の若者たちが談笑しながら歩く姿と、戦時中の写真が交互に現れる。戦時中の写真は戦死した伯父(母の兄)や幼少期の母など果里さん自身が提供したものに加え、果里さんの知人らから提供を受けた写真もあるという。

 「漫画家の岡野雄一さんをはじめ、多くの方に貴重な写真を提供していただき本当にありがたい。原田さんは『戦火を逃れて写真が手元に残ったのは、あなたがこの歌を歌わなければならない何かがあるから』と私に話してくれた」とも。

 アルバム「ユウトソラ」は現在、アマゾンやCDショップなどで予約を受け付けている。

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