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長崎で「池島」を体感するトークイベント「池島カフェ」

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 長崎・浜んまち商店街の好文堂書店イベントホール(長崎市浜町)で1月26日、閉山した炭鉱跡地「池島」について語るトークイベント「池島カフェ」が行われる。主催は長崎外国語大学。

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 池島は西彼杵半島沖に浮かぶ外周4キロほどの小さな島。旧外海町に属していたが、2005(平成17)年の合併で長崎市に編入。炭鉱ができる以前は古くから小規模な漁業や農業でわずかな島民が生活を営んでいた。「池島」の地名は島内にあった「鏡ケ池」にまつわる神功(じんぐう)皇后伝説に由来し、池に自生するイグサを原料とする畳が島の特産品だった。

 1958(昭和33)年、池の土手を削って人工の池島港が完成したころから状況が一変。翌年には採炭操業が始まり、工場や病院、学校、団地などが次々に建設された結果、1970年のピーク時の人口は7,700人ほどに膨れ上がった。1989(平成元)年には東南アジアなど28カ国から約500人の技術研修生を受け入れるなど優れた採炭技術の伝承に貢献。石炭産業を取り巻く環境が厳しくなっていく中、労使協力して合理化を進めるなどの努力を続けたが、出水事故や火災事故に加え政府の石炭政策の終了などで経営環境が一気に悪化。2001年、九州の炭鉱としては最後の閉山となった。現在の人口は200人台。

 トークイベントは3部構成で行われ、第1部「池島とは?」では、池島の概要説明や池島で撮影された映画やCM作品などを紹介。第2部「ソーシャルアクションと池島」では、日本にいち早くコワーキングを導入し、ソーシャルマラソン(シャルソン)を発案した「旅と平和」代表の佐谷恭さんと「秋葉原菜園」を企画し、利己を利他にするという理念を広げるNPO「リコリタ」代表の真田武幸さんをゲストに迎え、「池島で何が起きているのか」「池島で何ができるのか」について語り合う。第3部「教育と池島」では、大阪大学全学教育推進機構の中村征樹准教授や同大学e-squareの市田秀樹助教、長崎外国語大学「池島プロジェクト」メンバーが登壇し、「プロジェクト型授業を通して大学は学生に何を伝えたいのか」「学生と池島にとって何が残るのか」について現役教員と学生を交えて活発に討論を行う予定。

 総合司会者の一人で長崎市地域おこし協力隊池島担当の写真家・小島健一さん(37)は2004年に見学団体「社会科見学に行こう」を主宰し、施設や史跡などの見学会を成人向けに実施してきた。見学先には日比谷共同溝、東京メトロ「副都心線」、明石海峡大橋、核融合科学研究所、横浜火力発電所、ANA機体メンテナンスセンター、地球深部探査船「ちきゅう」など、普通では見学が極めて困難な施設が数多くあり、明治時代の傑作建築物と言われた旧長崎刑務所(諫早市)も解体前に見学している。小島さんは自らの活動を一般向けに書籍化したり、トークライブを行ったりして紹介し、多くのメディアで取り上げられた。2011年10月から池島に移住し、今年9月の任期満了まで3年間、同協力隊のメンバーとして池島の町おこしを担当する。

 小島さんは「長年無人島となって廃墟化した軍艦島と違い、池島は閉山からまだ10年ほどしか経っておらず、少ないとはいえ有人の島。施設がきれいに残っているし、トロッコに乗って坑内を見学することもできる。2011年から2013年にかけては来島者が約10倍に増え、徐々に注目されている。池島の過去、現在、未来を楽しく語り合うイベントであり、面白くてすてきな人たちとの出会いがあるので、ぜひ気軽に参加してほしい」と来場を呼び掛ける。

 開場13時、開演14時。イベント終了後、16時40分から18時まで懇親会を予定する。イベント参加料、懇親会参加料はそれぞれ500円。詳しくはホームページで確認できる。

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