長崎市中心部にある小さな商店街「りかちゃん通り」で2月14日、イベント「りかちゃんハート2015」が始まった。初日には「りかちゃんコンテスト」が開かれ、「初代・ベストりかちゃん」が決定した。

出場者全員の記念撮影

　直交する通りによって長崎市万屋町など3つのブロックに分かれる「りかちゃん通り」は、総延長230メートルほどだが、土日は中央のブロックだけ「歩行者天国」となる。同商店街と長崎警察署が合同で管理する歩行者天国の長さは、わずか60メートルほど。歩行者天国実現のために数年間にわたって奔走した「りかちゃん通り向上委員会」会長の田中英敏さんは「非公認だが、ひょっとしたら日本一短い歩行者天国かもしれない」とほほ笑む。

　同商店街が開くイベント「りかちゃんハート2015」は今年で3回目。りかちゃんコンテストはオープニングイベントの目玉として企画し、期間中は加盟店でスタンプラリーなどを行う。コンテスト出場資格は名前に「りか」を含む女性。年齢は問わない。同商店街で居酒屋を営む伊藤弘和実行委員長は「初めての試みなので、ふたを開けるまでは分からない」と話したが、締め切り時刻の15時までに「りかこ」や「えりか」を含む総勢5人の「りかちゃん」の出場が決まった。

　審査は「りかちゃん通りイメージソング（仮）」を歌う鈴木妙里さんや、長崎市出身の歌手・上奥まいこさん、布ナプキン専門店「りぼん」を営む大原万里亜さんなど5人の審査員が担当。鈴木さんと上奥さんは長崎市北部にある滑石小学校、岩屋中学校を通じての同級生。2003年に歌手を夢見て上京した上奥さんが2013年にようやく歌手デビューを果たして今日に至るまで、長崎で行われるライブのバックコーラスは鈴木さんがほぼ引き受けてきた。

　14時に始まった同イベントは、田中会長、伊藤委員長らのあいさつの後、「りかちゃん通りイメージソング（仮）」を鈴木さんが披露。同曲はタイトルが決まっておらず、現在タイトルを募集している。ステージ前では歌に合わせて「りかちゃんダンサーズ」の女子高校生2人が模範ダンスを熱演。鈴木さんのバックコーラスは、これまでの感謝を込めて上奥さんが務めた。曲を披露した後は上奥さんのミニライブが開かれ、上奥さんは「風」「外は雨」など数曲を熱唱。その後、イメージソングのBGMが突如大きくなると、集まっていた観客のうち、70人ほどが整然と2列に並び、曲に合わせて踊る「フラッシュモブ」も行われた。何も知らない通行人たちは「え？何？」と最初は戸惑いながらも、楽しく踊る人たちを笑顔で見守っていた。

　フラッシュモブが終わると、メーンステージには長崎市内で女性専用プライベートルームを営む堀口のり子さんと川田金太郎さんの司会者コンビが再登壇してコンテストが始まった。東京都出身の川田さんは雲仙普賢岳災害の復興支援に関わったことがきっかけで20年前、長崎県の島原半島に移住。以来、シンガー・ソングライターとして長崎を中心に音楽活動を行っている。NBC（長崎放送）「がまだせラジオ」のパーソナリティーとしても人気を集める。

　会場は、出場者へのコミカルなインタビューで川田さんの独壇場となった。5人目の出場者「えりか」さんが3歳と4歳の子どもを持つ母親と知ると、「昔、りかちゃんにはママがいたけど、今ではりかちゃんがママなんですね」とポツリ。観客からはクスクスと笑いが漏れた。

　川田さんはさらに「ということは、りかちゃんのパパはパパじゃなくて、りかちゃんの旦那？」と大きく首をかしげ、「りかちゃんの旦那。りかちゃんの旦那さん。いませんか」と大声で夫を探すそぶりを見せると、メーンステージ周辺は大きな笑い声に包まれた。

　審査の結果、初代「ベストりかちゃん」に選ばれたのは長崎市内に住む小学1年生の「辻りか」ちゃん（7）。プレゼンターの鈴木妙里さんから優勝のトロフィーとティアラ、副賞が手渡された。母親の実希さんは「面白そうなので応募しただけなのに、びっくり」と驚いた様子。りかちゃんは「優勝するなんて思わなかった。とてもうれしい」と笑顔を見せ、再びイメージソングが披露されると、りかちゃんダンサーズの動きに合わせて見よう見まねで踊ってみせた。観客らは「かわいい」とスマホなどで撮影していた。

　伊藤委員長は「小さなイベントから始まったが、今年は大きな手応えを感じている。これからも楽しいエリア作りを目指す」と力を込める。イベント最終日は18時から通りに竹灯籠を並べて点灯するため、幻想的な雰囲気が通りを彩る。

　開催時間は10時～20時。2月21日まで。