知的障害があるメンバー9人で構成する和太鼓グループ「瑞宝太鼓」(雲仙市)が5月15日、長崎市公会堂(長崎市魚の町)でプロ活動10周年を記念するコンサートを開いた。
メンバーが指導する太鼓クラブのメンバー総勢60人とともに演奏する「瑞宝」
会場には2,000人を超える観客が詰めかけ、立ち見客が出るほどの盛況ぶり。昨年、東京国際和太鼓コンテストで2位を獲得した「漸進打破」など、アンコールを含め全6曲を披露。団員が指導する4つの太鼓クラブのメンバー総勢60人による「瑞宝」も演奏した。観客は迫力あふれる太鼓の音に惜しみない拍手を送った。
瑞宝太鼓の前身は、職業訓練校のクラブ活動として1987(昭和62)年に発足した和太鼓クラブ。就職した後も働きながら演奏活動を続け、国内はもとより、スペインやシドニーのパラリンピック、ニューヨーク国連本部などの海外公演なども積極的に行った。活動開始から14年後、メンバーの強い希望で2001年にプロ化を果たした。
現在、年間100を超える公演をこなしながら、プロの太鼓打ちとして日常の練習にも懸命に取り組んでいるという。
彼らを親代わりに見守ってきた南高愛隣会コロニー雲仙の田島良昭理事長は「多くの人の支えで10周年を迎えることができた。彼らは手が血まみれになるくらい必死で努力してきた。これからも皆さまの力を貸してほしい」と謝辞を述べる。
団長の岩本友広さんは「趣味からプロ活動に変わったとき、団員の気持ちがバラバラになって悩んだこともあったが、思いを込めて演奏すると気持ちが一致していい演奏ができるようになった。僕たちの活動で人が楽しんで、幸せの輪が広がれば」と10年の活動を振り返ってあいさつした。
同グループは東日本大震災の被災地支援として、6月に東北で演奏活動を予定する。陸前高田市、気仙沼市、石巻市など、これまで毎年東北地方で公演してきた。「今大変な思いをしている東北の人たちに元気になってほしい」とエールを送る岩本さん。
当日は、団長の岩本さんの家族を中心に団員の日常や太鼓に取り組む思いを追ったドキュメンタリー映画「幸せの太鼓を響かせて~INCLUSION~」のプレミアム上映も、全国ロードショーに先駆けて行われた。製作総指揮に当たった細川佳代子さん、監督の小栗謙一さんも舞台あいさつに駆け付けた。細川さんは「障害者が生き生きと自立し暮らしている姿がここにある。この姿を日本中の人に知らせたいと思い映画製作を決意した」とあいさつ。
5月28日から全国で順次ロードショー公開。長崎では6月25日~7月1日、長崎セントラル劇場で公開を予定する。