
長与町の大村湾の沖合に浮かぶ無人島「二島(ふたしま)」で8月24日、シュノーケリングやSUPを楽しむアクティビティーイベントが行われた。
長与町の沖合5キロに浮かぶ二島は大村湾南東部の中央に浮かぶ400メートルほどの島。大村湾南東部の中心に位置することから、透明度が高く、多くの生き物が生息する。現在は民間に引き継がれているが、1922(大正11)年に開隊した旧日本海軍の大村海軍航空隊の基地に近かったことから射撃演習場として、終戦後もアメリカ軍の爆撃の標的として使われてきた歴史がある。銃弾などの破片と思われる金属片が見つかることもあり、島の一部では鉄粉がさびて赤く染まった場所も残る。
イベントは、島がある長与町と「大村湾ワンダーベイプロジェクト」、大村湾漁協が連携して島の有効活用を目指す取り組みの一環。同プロジェクトは「次世代へ海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる」ことを目的に日本財団が取り組む「海と日本プロジェクト」の一環で、大村湾とその沿岸エリアでさまざまな活動を行っている。8月24日を「二島の日」として制定したことから、島でマリンレジャーやアクティビティーを楽しめるよう、当日は長与港と二島を結ぶ無料の船を7往復運行。有料でSUPとシュノーケリングの体験会を午前・午後の2回に分けて企画した。
当日は約55人が二島に上陸。島に到着すると主催者の呼びかけで清掃活動を行い、ライフセイバーによる安全講習もあった。SUP体験に参加した参加者はパドルを手に用意されたボードに乗り、島の豊かな自然の中で海上散歩を楽しんだ。
シュノーケリング体験を担当した「ダイビングサービス海だより」(長崎市滑石4)の中村拓朗さんによると「二島は大村湾の中でも潮通しが良い場所なので水がきれいで生物も多い。クロダイやイイダコなど大村湾の海の幸の宝庫でウニやサザエも多い。環境が保たれている場所」と魅力を話す。
浮輪などを持ち込んで海水浴を楽しむ参加者の姿もあった。
視察に訪れた同町議会議員の岡田義晴さんは「演習場として使われてきた歴史から戦争遺構のような暗いイメージのある場所だった。マリンレジャーへの関心の高まりから豊かな自然環境など島の魅力が若い世代の人に注目されるのは喜ばしいことでは」と話す。
大村湾ワンダーベイプロジェクトによると、「二島の日ができたことから『普段行くことができない島に行ける日』として船を運行し、アクティビティーを用意した。来年以降もこのようなイベントを開催したい」としている。