江戸町商店街振興会(長崎市江戸町)は今年4月、29年ぶりに商店街アーチの架け替え工事を行った。
デザインのモチーフとなった出島の古地図を手にするデザイン担当の高浪高彰さん
新しいアーチは、江戸時代唯一の国際貿易港だった出島に近い立地だったという江戸町の歴史をモチーフとしたデザイン。赤白青のオランダ国旗の色と扇形の形で「出島」を表現し、出島の下側の茶色の部分が「江戸町」となっている。出島と江戸町をつなぐ「表門橋」も描き、橋の上には江戸町のシンボルマーク「タコノマクラ」を配置している。
このマークは、江戸時代に出島のオランダ人から友好の証しとして贈られたもので、オランダ語つづりの「JEDOMATSI(えどまち)」のJ・D・Mの文字を組み合わせたデザイン。デザインは同商店街の雑貨店「たてまつる」オーナーで長崎の歴史にも詳しい高浪高彰さんが担当した。「このような町章を持っているのは日本広しといえど江戸町だけだろう」と胸を張る。
アーチは、江戸町商店街の県庁側と中央橋側の2カ所に設置。支柱には出島と江戸町の歴史的な関係や「タコノマクラ」などの解説ボードも設置し、観光案内にも使える工夫を施す。
同商店街振興会の三瀬清一朗会長は「出島という外国に一番近かった江戸町。町の誇りとその思いを込めて作った新アーチを、できるだけ多くの方に見てほしい」と話す。