長崎を拠点にフリーの漫画家として活躍している岡野雄一さんが1月中旬に自費出版した「ペコロスの母に会いに行く」が売れている。
岡野さんが他誌などで2年間にわたり発表してきた作品と書き下ろし作品を加えて再編集した。地元の好文堂書店本店(長崎市浜町)では直木賞や芥川賞作品と共に文芸部門の週間ベストセラーに並び(現在3位)、本を取り扱う「カフェ豆ちゃん」では発送作業に追われているという。
同書は、岡野さんと認知症の岡野さんの母親との日常生活を軸にしたストーリー漫画で、普段の何気ない生活の一シーンをユーモアと温かみにあふれる長崎弁で展開している。岡野さんが自宅で母親を介護していたころと、グループホームに入所した後の交流などを題材に展開。山の上から長崎湾を2人で見下ろす風景や中島川上のランタン、原爆の話など長崎ならではの風景や話題も登場し、岡野さんの感性を通した長崎の暮らしも伝える。序文にはかねてより交流がある詩人・伊藤比呂美さんのメッセージも掲載。ペコロスとは岡野さんの愛称。
予想外の売れ行きに、岡野さんは「まさか在庫がなくなる心配をするとは思わなかった。読者に笑ってもらおうと思って描いたので、フェイスブックやミクシィで『泣きました』という感想をもらうと、『どの部分で泣いたのですか?』と聞きたくなる」と、うれしい悲鳴を上げる。
体裁はB5版142ページ。限定500部。価格は1,000円。好文堂書店本店、紀伊国屋書店長崎店、遊ING浜町店、カフェ豆ちゃんで取り扱う。
出版記念で現在、カフェ豆ちゃん(東古川町、TEL 095-825-4455)で「岡野雄一まんが展」を開催している。2月26日まで。