3月20日付け長崎新聞の広告スペースに「長崎弁が世界標準語に」というトップ見出しが躍る架空の新聞が掲載され話題になっている。
掲載された架空の新聞の名前は「長崎未来新聞」。同日付け紙面の15面から17面の3面に掲載された。発行日は2030年3月20日。発行所は長崎未来新聞社。閉塞(へいそく)感が漂う今を吹き飛ばすような明るい17年後の長崎の姿が描かれている。
この新聞を企画した東京出島塾は、東京在住の長崎出身者で構成する団体。東京から故郷・長崎の魅力を発信し、長崎の繁栄に貢献する取り組みを続けている。15面のトップ記事は「長崎弁が世界標準語に」。2030年1月1日から世界標準語が長崎弁に制定され、世界中の大学が「長崎弁」を科目として導入。幼稚園や小学校でも長崎弁の授業が始まったと架空のニュースを伝える。
イギリスの有名大学に長崎弁の講師として赴任したという架空の人物「眼鏡橋二郎」さん(87)は、長崎弁を早く習得できる現地の若者に対し「こんげん、はよー長崎弁ばしゃべりきるけん、やっぱ頭んよかね。すごかばい(こんなに早く長崎弁を話せるから、やっぱり頭がいい。すごいですね)」と驚く。「大手企業では『長崎標準タイム』を導入することで、8時30分の始業時刻に1時間遅れて到着することが可能になり、多くの人に心のゆとりが生まれ、家族との時間を大事にする人が急増している」とも。
長崎弁の話題以外にも、出島が「逆鎖国」して限られた人しか入れないエリアになり、地下に先端医療技術の研究開発拠点を作るという記事や、外国人を対象とした「好きな日本食調査」で、トップの「すし」に続き、3位の「焼き鳥」を抑えて「ちゃんぽん」が2位を獲得したという記事。「世界が注目ゴト婚」という見出しでは「結婚式を挙げたい場所」としてハワイ、パリなどの世界のリゾート地を抑えて、長崎県の五島が世界1位になったと伝える。
続く16面では「Vファーレン長崎、世界一」との見出しで、同チームがヨーロッパ代表チームに2対1で勝利して世界ナンバーワンに上り詰めたと伝え、J1昇格前に比べ経済効果で年間100億円を生み出したとも。18面では、長崎港にある大型免税店のショッピングセンターが開業5周年記念イベントで多くの人でにぎわっているという記事や、「トンダ自動車」が「坂ブリットカー」を長崎県限定で先行発売する記事を伝え、3面全体で明るい架空の話題19本を提供する。
同塾の大瀬良亮塾長は「今年1月から未来新聞の制作に取り掛かった。日頃自分たちが触れるニュースは決して明るいものばかりではない。未来新聞には『こうなったらいいな』と思える明るい未来の長崎の姿が見えてくるようにした」と振り返る。
未来新聞を読んだ長崎市内在住の男性は「最初は本当のニュースだと勘違いしてワクワクしながら読んだ。本当になるように、これから自分も頑張ろう」と話していた。