長崎ケーブルメディアが「ながさき原爆記録全集」放送  5時間の米軍カラー映像入手

映像を見ながら解説する松田斉さん

映像を見ながら解説する松田斉さん

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 長崎ケーブルメディア(長崎市筑後町)は11月1日、被爆から45日後に米軍が撮影したカラー映像に独自の解説を加えた番組「ながさき原爆記録全集」第1回を放送する。

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 大野陽一郎プロデューサーは「今年は戦後70年の節目だが、それで戦後が終わるわけではない。戦争や原爆に関する番組は8月に集中する傾向があり、うちも今年は3時間半におよぶ戦後特集番組を放送したが、長期間にわたって戦争や原爆の映像を流し続ける番組があってもいいのではないかと思う」と制作意図を説明する。

 番組では1995年、「10フィート運動」で知られる市民団体「平和博物館を創る会」(羽仁進代表)が米国立公文書館から入手した「原爆投下後、初めて長崎の被爆地を撮影したカラーフィルム」を見ながら、ピースバトン・ナガサキの松田斉さんが解説する。

 1945(昭和20)年9月23日、長崎市内に上陸した米海兵隊・第2海兵師団のノーマン・ハッチ(元)少佐らが撮影した16ミリカラーフィルムの長さは1万661フィート(約3.25キロメートル)、約5時間分におよび、廃虚と化した長崎市内の様子や当時の人々の生活風景が撮影されている。

 「今ではテレビ番組でもよく使われているが、実際に使われるのはほんの数秒から数分程度。この映像が持つ本当の価値は、それでは伝わらない。地元ならではの価値ある番組を提供したい」と考えた大野さんは、約5時間におよぶ全映像を入手。第1回放送用の30分番組を完成させた。

 「カラー映像と白黒映像を比べたら、視聴者が受けるインパクトが桁違い。私も解説の松田さんも当時を直接知らない世代だが、年長者や親などから『生々しい話を散々聞かされた』橋渡し役世代だと思う。当事者ではなく、『橋渡し役世代』が作ったところに大きな意義がある」と力を込める大野さん。

 松田さんは「ここが、ちょうどココウォークあたり」「ここは角のガソリンスタンド。こっちがコンビニ」「小さくて分かりにくいが、赤い郵便ポストが倒れている」など、当時と現在を比較しながら軽妙な語り口で解説している。

 大野さんは、完全に破壊された三菱兵器製作所大橋工場(現・長崎大学文教キャンパス)の奥に「船型試験場」が残っている映像を取り上げ、「戦前の姿をとどめて現存する中では最大規模の被爆建築物。全長は303メートルもあり、今でも三菱重工が試験水槽を使っている。地味なため一般にはあまり知られていないが、見たことがある市民はかなり多いはず。『あの古い建物は何?』『なぜ長崎大学の隣に三菱の船型試験場があるのか?』という疑問も、この映像を見るだけで分かる」と力を込める。

 「全10回程度の番組にまとめ、5時間分の映像を全て使う。地域に密着するケーブルテレビとしての強みを生かし、1回で終わらず何回もリピート放送したい」とも。

 放送開始は20時。ncm11チャンネルで放送する。

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