伊王島周辺の海域で漁獲される新鮮なカマスを地域おこしにつなげようとブランド魚「伊王島日の出カマス」の立ち上げたことを受け、10月23日、長崎市役所で鈴木史朗市長に贈呈された。
長崎市の南西10キロメートルほどに浮かぶ伊王島は1941(昭和16)年に炭鉱が開抗し、1972(昭和47)年に閉山するまで炭鉱の島として栄えた。風光明媚で豊かな自然を生かし1989(平成元)年にリゾート施設がオープン。2011年(平成23年)3月27日に伊王島大橋が開通し、2018(平成30)年にはリゾート施設が「i+Land nagasaki(アイランドナガサキ)」としてリニューアル。夏場を中心に年間約20万人が訪れるリゾートの島として親しまれてきた。
豊かな漁場に恵まれた伊王島周辺では年間を通じてさまざまな種類の魚が水揚げされ、海の幸や農産物を販売する「伊王島朝市」が毎月開かれてきた。
伊王島の水産資源を生かし、水産業だけでなく観光資源にもつなげたいと西彼南部漁協が春と秋に旬を迎えるカマスをブランド魚として立ち上げた。「伊王島日の出カマス」は同漁協に所属する漁師が刺し網で漁獲し、船上で1匹ずつ丁寧に氷締めしてその日のうちに出荷したカマスのみに認められる。同漁協の永田直樹組合長によると「カマスは傷みが早く、通常の流通経路では生食は難しい。ブランド魚のカマスは脂が乗った旬の時期限定だが、刺し身にできるほど新鮮。今だけ、ここだけの味わいを楽しんでほしい」と話す。
伊王島を中心に地域の魅力を発信するNPO法人「長崎アイランドアクト3」や今年から伊王島地域おこし協力隊に就任した林田慎一さんらも協力し、イベントを企画するなどさまざまな取り組みを通じてブランド魚を使った地域の活性化につなげようと動き出した。「すでに長崎市中心部の飲食店などからも問い合わせが来ている」と話す林田さん。「流通などの課題もあるが取扱店を拡大し、多くの人においしいカマスを味わってもらえるようにしたい」と意気込みを見せる。
ブランド魚の発足を受け23日に市役所を訪れたメンバーらは鈴木市長にブランド魚の魅力や認定基準などを説明。朝取れたばかりのカマスを贈呈した。カマスの刺し身を試食した鈴木市長は「おいしい」と笑顔を見せ、「伊王島の観光資源と食を生かして活性化につなげてもらいたい」と激励した。
29日には沖ノ島港(長崎市伊王島町)でブランド魚のお披露目イベントとして「豊漁祭」を開催。カマスのほか伊王島特産の伊勢エビなどの販売を行う。高島在住の「NANAIROPRODUCTION(ナナイロプロダクション)」所属アーティストによるライブのほか、会場で販売するグルメを持ち込み島の周辺をクルージングしながら楽しめる企画などを用意する。
イベントは9時~15時。クルージングは10時、11時、13時、14時出発で事前予約20人、当日10人定員。乗船料は大人=2,000円、小人=1,000円。