フジテレビの月9ドラマ「君が心をくれたから」のロケ地になった長崎居留地エリア約10カ所に3月上旬、案内板が設置された。
幕末から明治にかけて外国人居留地が設置された同エリア。案内板はドラマの放映でロケ地を訪れる「聖地巡礼」を目的とした観光客が増えている同エリアを、より盛り上げようとまちづくりに取り組む「長崎居留地歴史まちづくり協議会」が設置した。
永野芽郁さんが演じる主人公の逢原雨が育った祖母の家として度々登場する東山手甲十三番館(長崎市東山手町)では3月1日に案内板を設置。観光地として有名なオランダ坂の西側にある青い外観が象徴的な洋風住宅の同館は明治中期ごろに賃貸住宅として建設。当時は香港上海銀行長崎支店長やホーム・リンガー商会の職員、フランス代理領事が暮らし、現在は国の登録有形文化財に指定されている。
同館職員によると、「ドラマ放映後から多い日で1日1000人以上が訪れることもある」と驚く。
3月上旬にかけて同協議会のメンバーらがこのほかにも長崎孔子廟(大浦町)やグラバー園(南山手町)、南山手レストハウス(南山手町)などに案内板を設置した。
これまでもまち歩きの案内などに携わってきた同協議会の桐野耕一会長は「ドラマでは長崎居留地のさまざまな場所が舞台になっている。映像で切り取られた美しい景色に居留地に暮らす私たちも街の魅力を再認識させられている」と話す。長崎居留地は戦争や原爆の影響をあまり受けなかったことから当時の建物が重要文化財として数多く残り、このエリアに暮らす人々の生活の中に溶け込むエリアとなっている。
このことから、桐野さんは「観光地としてではなく、古写真と対比しながら歴史あるものが溶け込んだ街の営みを知ってもらうことで、訪れた人が自分の地元の街の良さを気づくきっかけにもなっている。グラバー園や大浦天主堂といった観光地だけではなく、ドラマで切り取られているような居留地の日常風景にある魅力にも気づいてもらえれば」と期待を込める。