見る・遊ぶ

長崎県美術館で「鴨居玲展」 長崎限定公開4作品含む175点が一堂に

長崎会場のみ公開となっている 鴨居玲「かるた」1968年、長崎県美術館蔵

長崎会場のみ公開となっている 鴨居玲「かるた」1968年、長崎県美術館蔵

  • 0

  •  

 「没後40年 鴨居玲展 見えないものを描く」が11月22日、長崎県美術館(長崎市出島町)で始まる。

長崎会場のみ公開の3作品

[広告]

 戦後の日本洋画壇において異色の存在感を放った画家・鴨居玲の大規模回顧展となる同展。抽象絵画が活発な戦後の洋画界であえて具象画家であることを選択し、人間の内面をえぐり出すような独自の世界観を構築。孤独、不安、死の恐怖といった人間の闇を描いた画家として知られる。両親が長崎県出身で父親の故郷である平戸市田平町に本籍を持つ長崎ゆかりの画家としても知られている。

 展覧会では「モティーフの模索と選択」「自画像」「私の村の酔っぱらい」「女性像」「教会」「弥縫録(びぼうろく)」の6つのテーマに分けて展示。長崎会場のみ公開となっている4作品を含む175点が並ぶ。「モティーフの模索と選択」では、1968(昭和43)年制作の「静止した刻」で40歳を超えて比較的遅い本格的な画壇デビューを果たした後、繰り返し描いてきた、賭け事をする男たちの群像を中心に初期の到達点である、これらの群像表現に至るまでの軌跡を紹介する。「自画像」では画業初期から数多くの描いてきた自画像の変遷に着目。1971(昭和46)年にスペインのラ・マンチャ地方の町バルデペーニャスに居を構え、制作のピークを迎えた頃に描いた作品を集めた「私の村の酔っぱらい」では人生の悲しみと刹那的な生の喜びを感じさせる作品が並ぶ。

 「女性像」では鴨居玲が帰国後、神戸にアトリエを構えてから亡くなるまでの8年間、描くテーマに求めてたどり着いた女性を描いた作品を展示。人間以外の唯一の主題となった教会にも着目した。中国歴史小説「陳舜臣(ちんしゅんしん)」の連載エッセー「弥縫録 中国名言集」の挿絵を手がけていたことから、コミカルに描かれた鴨居玲の挿絵にもフォーカスを当てた。

 1月11日には学芸員によるレクチャー「鴨居玲の作品を語る」を行うほか、11月29日、12月27日、1月24日には学芸員によるギャラリートークを行う。時間は14時~15時。

 館内のカフェでは期間中、鴨居玲が滞在したスペインにちなみ、スペイン産赤ワインを使った「ホットワイン」(600円・ノンアルに変更可)を提供する。

 開館時間は10時~20時(1月2日・3日は18時まで)。入場料は、一般=1,300円、大学・70歳以上=1,100円、高校生以下無料。休館日は11月25日、12月8日・22日・29日~1月1日、1月13日・26日。2月1日まで。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース