長崎中央郵便局前に今年4月にオープンした「チャイとカレーの店・マドゥバニ」(長崎市中町、080-3347-7457)が毎回1時間ほどで完売している。
同店は2012年6月、賑町の弁当店内に3席だけ間借りしてスタート。食べた人の口コミから広がり、間借り営業にもかかわらず毎回行列ができる人気店に。地元メディアの多くが取り上げた。
しかし店主の西島昌克さんは、毎回の行列や取材で弁当店に迷惑がかかるため「このままではまずい」と移転を決意。今年4月にようやく移転が実現した。席数は倍増して7席になった。
長崎市出身の西島さんは長崎でマニアックなレコード店を開き、大阪、東京へと店舗を移動。およそ17年間をレコード店業界で活躍した。「レコード店の武者修業に出掛けて戻ってきたら、いつの間にかカレー屋になっていた」と笑う。
東京にいたころ、すでに「音楽はダウンロードするもの」という兆候が出てきてビジネスが回らなくなり始めた。「長崎に帰ってきて何をしても上手くいかず、仕方がないので試行錯誤しながら『日本にない定食』を作ってみたら評判が良かった。ネパールには『ダルバート』と呼ばれる定食があり、それをヒントに作った。弁当屋さんに間借りさせてもらって店を出したら口コミで広がった」と振り返る。西島さんの店には東京の有名カレー店の経営者など飲食関係者も多数訪れたという。
ダルバートはネパールの代表的な家庭料理で「ダル」と呼ばれる豆のスープと、「バート」と呼ばれる米飯のセット。これにカレー味の野菜や漬物などが加わる。日本の「定食」のようにネパール人のほとんどが毎日食べているという。
同店は西島さんが一人で切り盛り。奥行きが狭い小さな店だが、開店時間の30分前にはすでに客が行列。店内に入ると正面の壁に「撮影禁止」の小さな張り紙が。しかし、よく見ると「撮影歓迎」と書かれており客の笑いを誘う。
西島さんは「やはり定食が人気。チキンカレーも『癖になる』とファンが多い。毎回40食ほど用意するが、1時間ほどで売り切れる。とてもうれしいが一人ではもう限界」と明かす。
メニューは「チキンカレー」(550円)、「定食」(600円)、「定食大」(900円)の3品。営業時間は12時~14時(売り切れ次第終了)。月曜・木曜定休。