マジシャン・ドゥーさんら7人、長崎で「夢を語る」決勝へ

予選会で出番を待つ11人の候補者。帽子をかぶっているのが佐々田さん

予選会で出番を待つ11人の候補者。帽子をかぶっているのが佐々田さん

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 九州電力長崎支店(長崎市城山町)で12月7日、自分が描く「夢の事業」を語る10分間のプレゼンテーション大会「ドリームプラン・プレゼンテーション長崎2014」(通称、ドリプラ長崎)の予選会が開かれ、長崎を拠点に活躍する「マジシャン・ドゥー」こと佐々田つよしさんなど、本選出場者7人が決定した。

審査員を前に熱く語るプレゼンター

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 ドリームプラン・プレゼンテーションは、アントレプレナーセンター(東京都中央区)の福島正伸社長が2007年に始めた体験型プレゼンテーション。従来型のビジネスプレゼンテーションとは違い、事業計画の詳しい内容を審査するのではなく、その事業が社会に広まった時、社会にどんな変化が起こるのかという夢を映像と音楽を使って観客に語り掛け、会場全体で「夢の事業」を疑似体験するというもの。

 「夢の事業」としてエントリーするには、「独自の価値・魅力があること」「社会的貢献度が高い事業であること」「人々をわくわくさせること」「事業として発展性があること」「プレゼンターの人生観とリンクしていること」「実現のための準備ができていること」の6つを備えていることが条件。プレゼンターたちはサポーターやパートナー、実行委員らとともに数カ月かけてプレゼンテーションを準備する。本番の制限時間は10分間。完成に至るまでの数カ月間、より良いものを作ろうとすればするほど、互いに激しくぶつかり合うこともあるという。予選会では各分野から選ばれた12人の審査員が公平にジャッジ。11人の候補者の中から7人を選出した。

 本選出場者の一人、「マジシャン・ドゥー」こと佐々田つよしさんは1976(昭和51)年生まれ。小学生のころに見たマジックショーに衝撃を受け、友達に楽しんでもらいたくてマジックを始めた。現在38歳ながら、マジシャンとしての経歴は通算28年、プロとしても13年の経験を持つベテラン。「マジックをやっていてつらかったことは一度もない」と笑顔を見せる。

 昨年12月、勤めていた印刷会社を退職して独立。それまでは会社員とプロマジシャンとの「二足のわらじ」だったため、公演は休日に限られていた。「独立してちょうど1年。4人の子どもたちと妻に支えられながら夢を実現したが、ドリプラに関わるまで自分の夢にここまで真剣に向き合ったことはなかった」と振り返る。

 佐々田さんのテーマは「マジックマナー教室」。マジックを通じて子どもたちに礼儀作法を学んでもらおうというもの。「マジックは人を笑顔にする。マジックを楽しみながら礼儀作法を覚えることでコミュニケーション能力を自然に習得してもらえたら」と説明する。「わずか10分間だが、ずっと描いてきた夢をたくさんの人たちの前で発表できるまたとないチャンス。全身全霊で頑張る」と意気込む。

 予選会を見守っていた実行委員の金子マモルさんは「ドゥーさんのプレゼンは楽しかったし軸があってすごく良かった。分かりやすいし十分に楽しめる。長崎大会は今年で4年目だが、回を重ねるごとにレベルが高くなっていると思う。全員出場させたいくらい」と話す。

 実行委員長の香川裕さんは「2年前、妻がプレゼンターとして出場したためパートナーとしてドリプラに関わった。何日もまともに寝ないでプレゼンに打ち込む妻を脇から支えながら、なぜ彼女がそこまで本気で打ち込めるのか正直分からなかった。昨年から実行委員として参加したのは、その理由を突き止めたかったから」と振り返る。たくさんの人と関わり、本気でぶつかりながらも肯定し合うドリプラの活動は確かに心地いいと説明する香川さん。しかし、なぜ無償の活動にここまで本気になれるのかは全く理解できなかったという。

 「実行委員長として参加してはっきり自覚できたことは、自分には夢がないということ。夢を追い掛ける人を応援する委員長がそれではいけないと思ったが、本当の価値は自分自身が舞台に上がると決意した時に初めて生まれるものだということを思い知った。プレゼンターも最初から夢が明確な人ばかりではない。絶対に舞台に立つと決めた瞬間、締め切り前のほんの数日、ほんの数時間で普通の人間が飛躍的に成長し、夢を明確に自覚する雄弁な語り部になる姿を間近に見てきた」とも。香川さんは「今はまだ人前で語れるほどの夢は持っていない。しかし、いつかプレゼンターとして舞台に立つ」と力を込める。

 審査員の一人、諫早在住の演劇家で「エヌケースリードリームプロ」代表の渡辺享介さんは「たった10分のために『ここまでやるか』というくらい準備がなされる。自分もプレゼンターの経験があるので、プレゼンター本人が妥協しそうになっても実行委員がそれを許してくれないことをよく知っている。数カ月間、ぶつかりあって結実した夢の結晶。どれも素晴らしいので、かなり悩んで審査した。ぜひ自分の目で確かめてほしい」と呼び掛ける。

 佐々田さん以外の出場者とテーマは次の通り。井上智子さん「ビワから始まる新リラックス」、岩本諭さん「斜面地から長崎を変える」、橋本伸吾さん「命と未来を作る食プランナー」、鈴谷美樹子さん「笑顔届けるやさしさのハッピースイーツ」、今村美穂さん「5分リラクゼーション」、吉岡拓哉さん「夢と希望があふれる街、長崎」。

 本選は12月14日、長崎市民会館(魚の町)で行われる。

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