一般社団法人大村湾ワンダーベイは2025年7月26日(土)に「大村湾ワンダーボート大会」を開催しました。この大会は、若い世代が大村湾に親しみと課題意識を持つこと、そして古くから海洋産業や造船業を牽引してきた長崎県で海やものづくりへの関心を深めることを目的に、大村湾の特性を理解し、湾に適した独創的なボートを製作するものです。参加した高校生たちは扇風機、電動ドリル、ポンプといった身近な機器でエンジンを製造!今回のイベントを通し、未来の海で活躍する発明に繋がったかもしれません。
大村湾ワンダーベイプロジェクトは、地元大村湾を身近に感じ、海の環境について考えるきっかけを創出していきます。
このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。

・開催概要:大村湾ワンダーボート大会
・日程 :2025年7月26日(土) 13:00~16:00
・開催場所:時津ウォーターフロント公園・時津港
・参加校 :島原工業(6名)、長崎鶴洋(3名)、長崎工業(6名)、長崎総合科学大学付属(9名)
長崎県内の高等学校4校の生徒が、ポンプや電動ドリル、扇風機といった身近な機器でエンジンを製造し、オリジナルの船を製作。大村湾の特性に適した船で、スピードやデザイン性などを競いました。
開会式では各校から「絶対に負けません!」「1番で勝ちます!」と力強い意気込みが聞かれ、会場は熱気に包まれました。
レースに先立ち、まずはデザイン&アイデア審査を行いました。「アイデア賞」「技術賞」「環境賞」「デザイン賞」「乗ってみたいで賞」の5つの賞を審査員5人が選出します。エンジンになる機器のポンプ、電動ドリル、扇風機は5月に抽選会を行い決定。島原工業はポンプと扇風機、長崎鶴洋は電動ドリルとポンプ、長崎工業は扇風機2台、長崎総合科学大学付属は電動ドリルとポンプで挑みます。そして事前に大村湾についての講座も実施し、閉鎖性海域の理解を深めました。約2ヶ月にわたり知恵を絞ってボートを完成させた各校の生徒たち、5分の持ち時間で審査員に向けプレゼンテーションを行います。長崎鶴洋は「試行錯誤の結果、ポンプとドリルをボートの底に垂直に設置するとスピードが出ることがわかりました。ボートの底に設置するため、ボートに穴をあけました!」と説明。審査員は「我々専門家には、ボートに穴をあけるなんて浮かばないアイデア。どんな走りをするのか楽しみ」と驚いていました。また長崎総合科学大学付属は「電動ドリルの先に取り付けるため二重反転プロペラを作りました。歯車やプロペラなど必要な部品は自分たちで設計し、3Dプリンターで制作しました。」と説明し、審査員は「二重反転を考えて、それを製作できたのはとても素晴らしいこと」と称賛しました。

いよいよ海上でのボートレースです!30メートルの「直線コース」と「スラロームコース」の2レースでタイムを競います。各校、少々緊張した面持ちでスタート地点へ移動しました。
レースがスタートすると、スイスイと進んでいくボートもあれば、なかなかうまく進まないボートもあり様々でしたが、生徒たちはゴールを目指して一生懸命に操縦。陸上からはチームメイトの声援が、大村湾に響き渡りました。
穏やかな波が特徴の超閉鎖性海域である大村湾。当日は風があったためエンジンに扇風機を引き当て、風を利用しようとしたボートは苦戦を強いられる場面がありました。一方、ドリルやポンプを引き当て、海中で動力を作動させたボートの中には、穏やかな波を味方につけ、真っ直ぐに速いスピードで進む様子も見られました。
レースの結果は、ポンプと扇風機で穏やかな波と風を捉えた「島原工業」が、直線コース・スラロームコースのどちらも優勝を勝ち取りました!2冠となった島原工業はほぼ毎週、メンバーが知恵を出し合い、操作性の優れたボートを製作しました。本番のレースでもスムーズなスタートを実現させ、ライバル3校をおさえました。また、突然の故障にも慌てることなく、現地調達した素材で素早く修理を行うなど、高い技術力とアイデア、チームワークが光りました。生徒たちはみな笑顔でお互いの健闘を称え合いました。
レース後の表彰式では、まずレースの優勝校・島原工業が発表され、続いてデザイン&アイデア審査の結果発表が審査員からありました。
アイディア賞「長崎鶴洋」、技術賞「長崎総合科学大学付属」、環境賞「長崎鶴洋」、デザイン賞「長崎工業」、乗ってみたいで賞「長崎鶴洋」と各校が受賞しました。環境賞のプレゼンターを務めた審査員の水中ダイバー・中村拓朗氏は「大村湾は閉鎖性が強いので、外にごみが出ていきにくい環境です。ボートの装備などが外れて海に落ちてしまうと大村湾にごみが滞留してしまう。長崎鶴洋の無駄のないシンプルなデザインはごみが出にくくてよかった」と話しました。長崎鶴洋の生徒は「普段からよくごみ拾いをしているので、この賞が獲れて嬉しいです」と喜んでいました。
生徒たちは、「良い思い出の場所になった大村湾が、これからもキレイであるように守っていきたい」「今まで大村湾に関わることはほとんどなかったけれど、この大会で大村湾に親しみが湧いたので、今後もっと大村湾で遊んだり、自然を体感したりしたい」と笑顔で話しました。ボートの製作から大会を通して大村湾に触れ、大村湾への親しみが一層深まったようでした。
<団体概要>
団体名称 :一般社団法人大村湾ワンダーベイ
URL :
https://wonderbayomurabay.uminohi.jp/
活動内容 :大村湾独自の特徴を活かしたイベントの開催
県内自治体・企業・団体への「大村湾ワンダーベイプロジェクト」への参加要請
日本財団「海と日本プロジェクト」
さまざまなかたちで日本人の暮らしを支え、時に心の安らぎやワクワク、ひらめきを与えてくれる海。そんな海で進行している環境の悪化などの現状を、子どもたちをはじめ全国の人が「自分ごと」としてとらえ、海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げていくため、オールジャパンで推進するプロジェクトです。
https://uminohi.jp/
「大村湾ワンダーベイプロジェクト」
超閉鎖性海域であるが故に、周辺地域の生活環境が影響しやすい大村湾は、地域住民・企業・自治体がワンチームとなって取り組み、大村湾を大切に守る気持ちを育む必要があります。そこで、2023年度新たに立ち上がったのが「大村湾ワンダーベイプロジェクト」です。日本財団 海と日本プロジェクトの活動の一環として、豊かで美しい大村湾を守るために推進するプロジェクトです。