株式会社ON THE TRIP(本社:東京都港区)は、新上五島町観光物産協会と共同し、上五島エリアの風土や歴史を体感できる公式オーディオガイド「五島列島・新上五島町」をリリースいたしました。
ガイドURL : https://on-the-trip.net/spots/762/purchase?locale=ja
ガイドを手がけたのは、国内の寺社や美術館、芸術祭などの公式オーディオガイドを制作する株式会社ONTHE TRIP( https://on-the-trip.com/)。地図にマッピングされたスポットを、オーディオガイドを聴きながら巡ることのできる、オーディオガイドアプリを制作しています。
本ガイドでは、「国境の島」として重要な寄港地であった新上五島町を舞台に、山王山、青方神社、日島の石塔群などをめぐる5つの物語を音声で収録しています。かつて遣唐使船や倭寇の船が寄港し、キリシタンの潜伏先でもあった上五島。古来より様々な信仰や人々の祈りが息づく新上五島町の物語を、目で、耳でたどる体験をお楽しみいただけます。
GPS連動機能により、現在地周辺のスポットがアプリに表示されます。各スポットの前に立つと、すぐにオーディオガイドを再生可能です。
現地でのまち歩きはもちろん、旅の計画時やフェリーで島に向かう移動中にも。音声を通して、上五島の物語を追体験する旅がはじまります。
上五島に宿る「祈り」の物語
五島列島北部に位置する新上五島町。
国境の島とも呼ばれたこの地は、古来より大陸との航路における重要な寄港地としての役割を果たしてきました。
島を訪れたのは、遣唐使船や倭寇の船、そしてキリシタンの信仰を運ぶ船まで。多様な人々や文化が行き交う中で、上五島には今なお、“祈りの物語”が静かに受け継がれています。
この島には、仏教、神道、キリスト教といった多様な信仰が、時に交差し、時に重なりながら共存してきた歴史があります。それぞれの祈りのかたちが重なり合うことで、この島ならではの精神的な風土が育まれてきました。
「なぜ、この場所に祈りが生まれたのか。」
「なぜ、ここが信仰の対象となったのか。」
本ガイドの物語は、そんな問いからはじまります。問いと向き合いながら町を歩くと、遠くの水平線、静かに佇む石塔や神社に漂う気配に、かつて込められた祈りや旅立ちの願いが、そっと浮かび上がってくるはずです。
大海原を前に、人は何を祈ったのでしょうか。
それは、航海の成功であり、生還の願いであり、それは、生きるための祈りでもありました。
祈りとは何か。信じるとは、どういうことなのか。
本ガイドは、五島列島に息づく「祈りのはじまり」をたどる旅です。
島を端から端まで巡りながら、耳をすませてみてください。その節々で祈りの気配が、きっと聞こえてくるはずです。
遣唐使船の航路に浮かぶ、祈りの島
本ガイドは、遣唐使船に乗った1人の僧侶"最澄”の物語からはじまります。
時は、804年。16回目の遣唐使船が、日本を旅立った年。最澄はその船に、ひとりの僧として乗船していました。
当時の遣唐使船には、エンジンはもちろん、羅針盤すらありません。小さな木造船に数百人の使節団を乗せ、風を頼りにオールを漕いで進む、まさに命がけの航海でした。
その航路も、時代とともに大きく変化します。かつては、壱岐・対馬を経て、朝鮮半島沿いを進む北のルートが用いられていました。しかし、663年の白村江の戦い以降、新羅との関係悪化により、その航路は断たれます。そこで、浮かび上がってきたのが五島列島でした。
遣唐使の航海は、嵐や漂流、座礁、さまざまな危険が待ち受け、結果として無事に往復できた船は、全体のおよそ半数ほどだったといいます。
祈らずにはいられない。そんな旅路の中、最澄はこの新たな航路に身を投じたのです。
このように、オーディオガイドでは、決して観光情報誌では触れられないような、上五島の歴史の中に潜む祈りの気配を辿る旅へとご案内します。