グリーンカフェ「H2O」(長崎市目覚町、TEL 095-801-5828)が現在、同店で提供する商品の原料「パッションフルーツ」の果実を栽培している一般家庭から買い取っている。
国道を隔てた向かい側にある大型商業施設「みらい長崎ココウォーク」(茂里町)内でフラワーショップを経営する栗崎貴子さんが昨年11月にカフェ併設店としてオープンした同店。今年6月、鈴田峠農園(大村市)で生産されたパッションフルーツを原料にした「スムージー」(500円)と「アイスクリーム」(480円)を発売した。
店内には同園が監修・メンテナンスを引き受けるパッションフルーツの「緑のカーテン」が設置されている。緑のカーテンは気温を下げる効果があり、生育させたまま茎や葉を絡ませることなく容易にトラック輸送できる商品を開発した同園は2014年8月、特許を取得した。
パッションフルーツは、めしべの形が時計の長針、短針、秒針のように見えることから名付けられた「トケイソウ科」の仲間。南米を中心に分布する多年草で、完全無農薬栽培で最大4年間にわたり実を収穫することができる。名称はトケイソウを英語で「パッションフラワー」と呼ぶことに由来し、パッションには「情熱」の意味はないという。実の内部には小さく硬い種が多く含まれ、果肉は黄色いゼリー状で果汁が多い。
日本では栽培面積・生産量ともに鹿児島県が最も多く、南西諸島や沖縄県、熊本県、岐阜県、東京都、長野県、栃木県、福島県など各地に広がっている。栽培には一定の温度を必要とするが、亜熱帯植物にもかかわらず高温を嫌い、30度以上の高温が続くと実が生育しないという。開花・受粉から14日ほどで実がはっきりした形になり、その後1カ月半ほどで完熟して自然落下する。海外ではそのままスプーンなどで生食することが多く、日本ではジュースやジャム、ケーキ、ゼリーなどの加工商品も多く開発されている。
同店のスムージーの原料にはパッションフルーツの種や果肉・果汁のほか、外の皮までまるごと使用。さらにマンゴーを加え、甘味料は一切使用していない。「アイスクリームも果肉・果汁を生のまま上からかけたシンプルなもの。余分なものは一切加えていない。どちらも女性のリピーターが多い」と栗崎さん。
「パッションフルーツを始めて2カ月ほど経つ。6月ごろ受粉した店内の緑のカーテンの実が熟するころだが、最近は人気が高くて鈴田峠農園さんも原料が不足している。店内の在庫がまもなく底を尽きそう。当店でも大きい実は1個100円で買い取るので、ぜひ売ってほしい」と呼び掛ける。
鈴田峠農園では2010年からパッションフルーツの栽培に着手。「当初は全然売れず、苦労した」と當麻(とうま)謙二社長。その後、「パッションフルーツのことをもっと知りたい」という農家や顧客の声に応え、フェイスブックグループ「パッションフルーツ友の会」(籾穂隆会長)を発足した。パッションフルーツの栽培方法を公開したり、会員が栽培する果実の情報をシェアしたり、全国規模で情報交換を行っている(8月22日現在、会員数876人)。同園ではパッションフルーツの苗を店頭販売(1苗=600円)するほか、アマゾンを通じて通信販売を行う(2苗セット=1,650円。送料別)。
「誰でも簡単に栽培できるので気軽に育ててほしい。できた実は原料が足りないので、ぜひ売ってほしい」と當麻社長。
H2Oの営業時間は10時~20時。水曜定休。