長崎の老舗文具店「石丸文行堂本店」(長崎市浜町)で11月12日・13日の2日間、「手帳!展(ててん)」が開かれた。
展示品は広く普及している手帳から、あまり知られていない手帳まで94種類。手帳は単に見るだけでなく、他人の使用例を参考にして試し書きが実際にできる。展示された手帳にはメーカーからのメッセージが添えられ、「糸綴じノート」や「カードケースづくり」のワークショップも同時開催された。
同イベントは、「手帳オフ会」などの手帳関連イベントを企画・開催する手帳愛好家団体「手帳社中」とコラボ開催することで実現した。
手帳社中の代表・宮崎淳子さんは「手帳の向こうには人がいる。手帳を通して、つながる場を作りたい」と話す。宮崎さんは自作手帳を追求するあまり、製本学校に通うほど手帳に夢中になったという。メンバーの佐川博樹さんは、オリジナル手帳「スライド手帳」を開発・販売する。佐川さんが開発に関わった「飾り原稿用紙 碧翡翠(あおひすい)」は、2016年「日本文具大賞グランプリ」を受賞した。
同展には長崎だけでなく佐賀や福岡、熊本などからも来場者が訪れ、会場は集まった文具ファンの熱気に包まれた。「何も書かれていない新品の手帳は使い方のイメージがしにくいが、使用例が書かれているので大変参考になる」「手帳に試し書きできるなんて聞いたことがない」という意見が多く、紙とペンとの相性を細かく確かめる来場者もいた。
糸綴じノートを作るワークショップでは、表紙と中表紙を多くの種類から自由に選び、ノート部分の紙(8枚)は4種類の紙の中から選んで、それらを縫い合わせて和綴じノートを作成する。さまざまなデザインのマスキングテープを自由に選んで装飾するなど、参加者の多くが「紙を縫う」という初めての体験を楽しみながら、真剣な表情で取り組んでいた。
12日の夜は、石丸文行堂が不定期で開催する文具イベント「文房具マルシェ」の特別企画トークイベント「手帳がNight」を開催。手帳社中の宮崎代表と佐川さんをゲストに迎え、「どんな手帳を選べばよいか?」をテーマに、会場に集まった手帳ファンと1時間半にわたり意見交換した。手帳社中の2人は「無理に自分を手帳に合わせる必要はない。自分に手帳を合わせよう」と語り、参加者らは熱心に耳を傾けていた。