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「何とかせんば」-長崎市内で思い思いの義援金活動広がる

空き瓶を利用した募金箱には1円玉や5円玉、10円玉がぎっしりと詰まってきた

空き瓶を利用した募金箱には1円玉や5円玉、10円玉がぎっしりと詰まってきた

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 東日本大震災が発生して以来、長崎市内では組織が中心となる災害義援金募金活動以外に、個人が思い思いのスタイルで取り組む義援金募金活動が始まっている。

「お代は1円からあなたが決めて下さい」真剣に言葉を書く後田さん

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 長崎市銅座町にある「フォーク酒場1970」マスターの榎島英巳さん(58)は11日の災害発生以来、自分も何かできないかと思いフォークシンガーの川田金太郎さんに電話で相談。「だったら大震災義援金ライブをやろう」と決まり、今月21日19時から同店で川田さんがライブを開くことになった。参加者はドリンク代(1杯500円~)だけでライブが聴け、参加者に代わって榎島さんが代金の一部を義援金として募金する。

 「正直、もうけはない。でも同じ国に住む者同士、助け合わなければ生きていけない。狭くて20人位しか入らない店だが、懐かしい『かぐや姫』のナンバーで一緒に盛り上がりたい。募金の金額などはホームページで公開する」という。

 長崎市内の各地で街頭募金が集中した13日の長崎市民会館前広場。バザー会場で紙芝居を披露した「たけちゃん」こと後田竹次郎さん(39)は、その後の予定を急きょ変更し、インスピレーションで言葉を贈るというパフォーマンスを始めた。代金は客が自分で決め、代金全額を東日本大震災の義援金として日本赤十字社などを通じて募金するという。多くの人が後田さんの前に並んだ。

 今から17年前、バイク事故で右膝機能全廃の重傷を負った後田さんは「ずっとサッカーをやっていたので走れないと分かった時、もう死んでしまおうと本気で思った」と振り返る。大手メーカーのバイオテクノロジー研究員だった後田さんは、事故をきっかけに絵を描き始めた。1999年からはイラストレーターとして本格的に活動を開始。その後いくつもの壁にぶつかりながら2008年の夏、全国紙芝居ツアーを始める。2010年の3月~8月には東南アジア各国で紙芝居を披露。言葉も通じない多くの人々に紙芝居で感動を与えた。現在は全国紙芝居ツアーを再開し、各地の幼稚園、保育園、小中学校、高校、老人ホームなどさまざまな施設からの要請を受けて紙芝居やお話会を行っている。

 「全国ツアーの中で被災地の人たちとも被災前に触れ合ってきた。記念撮影した写真を見るとたまらなくなる。本当は今すぐにでも現地に入りたい気持ちでいっぱい。今、自分にできることは何かと考えた末、予定を変更して言葉を贈ることにした。受け取る人たちにありがとうと言われたが、本当は自分こそ協力してもらいありがとうと言いたい」と後田さんは唇をかみしめた。

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