日本財団洋上風力人材育成センター(長崎市伊王島町2)の開所式が11月7日に行われた。
洋上風力発電をはじめとする海洋開発分野の人材育成を目指すNPO法人「長崎海洋産業クラスター形成推進協議会」(出島町)が運営する同施設。世界の電力需要は2022年から2050年に向けて1.5倍に増加することが予想される中で、カーボンニュートラルの実現に向けて欧米を中心に世界的に海洋エネルギー開発が加速。日本でも2030年に10GW、2040年に30~45GWの洋上風力発電の導入目標が掲げられている。日本風力発電協会によると現在5000人ほどの洋上風力発電人材需要は2050年までに5万人ほどまで増加することが見込まれている。
日本最大規模の洋上風力人材育成拠点として開所した同施設は、洋上風力発電の現場作業で必須となる国際認証資格「GWO資格」のためのプログラムを日英対応で提供。年間1000人の受講を見込む。
今回完成したのは安全訓練棟で、シーサバイバルを含む安全訓練や救助訓練、応急手当などの受講ができる。2026年には隣に技能訓練棟が、2027年には高島沖の海上に洋上訓練施設が完成し、技能者・技術者への総合プログラムの提供を目指すとともに、より高度な洋上プロフェッショナル養成に向けた整備を進めている。
開所式後に行われたデモンストレーションでは、落水時の対応や救命いかだへの避難、要救助者が発生した際にストレッチャーで高所へつり上げる様子などを披露した。
日本財団常務理事の海野光行さんは「古くから漁業や造船など海事の街として発展してきた長崎。漁業者との連携もすでに積み重ねがあったことから同所の設置につながった」と話す。「洋上風力発電の技術者や技能者が大幅に不足するなかで、設置後のメンテナンスを担う技能者不足が特に深刻になる。洋上の厳しい環境下で高い技術が求められるなか、人口減少による外国人労働者の受講も見据えて日英対応の訓練施設を目指した」とも。