長崎市大浦町と松が枝町で社会福祉事業所を運営する「one’s will」(長崎市大浦町)が1月27日、長崎伝統野菜を使った乾燥ミックス野菜の販売を始めた。
「障害があっても志を抱くことを応援したい」という理念の下、2020年に設立された同社。ネットでの古着販売や雑貨とドライフードの製造を就労継続支援B型の一環として行ってきた。
これまでも粉末野菜や乾燥野菜の製造・販売を行っていた同社。傾斜市街地を活用した市民農園「さかのうえん」を運営する景観まちづくり団体「null長崎都市・景観研究所」と提携することで、同園で育てる長崎伝統野菜を使った商品の開発につながった。
高度経済成長期の人口増加に伴う急激かつ無秩序な開発が行われたことで形成され、継続的な地域づくりが困難になりつつある長崎独自の密集斜面市街地を活用する取り組みとして運営する同園。2011(平成23)年2月に行われた「若者によるまちづくり提案発表会」で田上富久・前長崎市長に提案したことからプロジェクトを立ち上げた。2020年5月、中新町に4拠点を開設し、市民農園として貸し出しをスタート。学校と連携して教育の場としての活用するほか、西山木場地区で「長崎伝統野菜」の保存・育成に取り組む農家の中尾順光さんの協力も得て、周辺住民の暮らしの充実や伝統野菜の継承などに領域を広げてきた。
同団体代表の平山広孝さんによると、「現在、貸農園は空き待ちになるほど人気となっているが、特に夏場の草刈りなど日常管理を行うマンパワーが不足している」ことから、同社の就労者が同園での野菜の栽培と施設の管理を担うかたちで提携を決めた。同社が運営する「障害福祉サービスwill」(大浦町)では6人ほどの就労者が乾燥野菜の製造に従事。乾燥野菜ミックス「eatって(いーとって)」(5グラム200円、20グラム680円)のパッケージは長崎県立大学の学生がデザインした。さかのうえんで栽培した長崎伝統野菜の唐人菜や辻田白菜が、大根やニンジン、ゴボウと共にミックスされている。
同社の下釜聡美社長は「乾燥野菜は保存性が高く、特に一人暮らしの人などインスタント麺やみそ汁に加えるなど料理に使ってもらうことで野菜不足の解消につなげてもらえる。就労者の働く意義にもつなげたい」と意気込む。長崎伝統野菜を使うことから「今後は販路を広げ、土産品としての販売も目指したい」とも。
商品は「就労福祉サービスwill」で扱う。営業時間は平日10時~15時。