
企画展「ゴヤからピカソ、そして長崎へ 芸術家が見た戦争のすがた」が7月19日、長崎県美術館(長崎市出島町)で始まる。
戦争をテーマにした同展は、「被爆地・長崎に在(あ)る美術館」として今年開館20周年を迎え、長崎が被爆80周年の節目に当たることから企画。同館ではスペイン美術を標ぼうしてきたことから、収蔵するフランシスコ・デ・ゴヤの版画集「戦争の惨禍」を中心に展示。「芸術家が戦争をどのように視覚化してきたか」に迫る。
展覧会では「ゴヤが見た戦争のすがた」「人間の暴力、そして狂気」「無垢なる犠牲、名もなき民衆の死、性暴力」「体に刻まれた傷」「飢えと貧困」「『私は見た』一目撃者としての視点」「記憶の継承」の7つのテーマに分けて186点を展示。パブロ・ピカソの洋画や藤田嗣治の戦争画、ジャン・フォートリエの「人質シリーズ」などが並ぶ。「ゴヤが見た戦争のすがた」の展示では「戦争の惨禍」の全作品と共にスペイン・プラド美術館収蔵の「巨人」「死した七面鳥」を加えた84点を展示。「『私は見た』一目撃者としての視点」では長崎原爆資料館収蔵の原爆投下直後の長崎の惨状を記録した山端庸介の写真や山田栄二の水彩画などが並ぶ。
エントランスロビーで特別展示する「ゲルニカ」複製陶板は大塚国際美術館(徳島県鳴門市)に展示されているのものと並び2点しかない同作のレプリカ。原作はスペイン内戦中の1937年にドイツ軍がバスク地方の町ゲルニカを無差別爆撃したことに衝撃を受けたピカソが1カ月ほどで作り上げ、同年7月にパリ万博で公開。現在でも反戦の象徴として広く世界中に知られる。
オープニングセレモニーでは同館の小坂智子館長が「戦争が苛烈を極めている現在世界情勢にも訴求するものでなくてはならないという認識の下、時代を超えて普遍的なメッセージを放つゴヤの作品を中心に据えた。芸術作品を通じて戦争について考えを巡らせる契機となれば」とあいさつし、テープカットを行った。
開館時間は10時~20時。観覧料は、一般=1,500円、大学生・70歳以上=1,300円、高校生以下無料。9月7日まで(7月28日、8月25日は休館)。