
全編長崎でロケを行い、7月4日に公開された映画「夏の砂の上」のロケ地マップが現在、ロケ地の一つとなった長崎市民会館(魚の町)や長崎市役所、長崎駅構内にある総合観光案内所などで配布されている。
長崎県北松浦郡出身の劇作家・演出家の松田正隆さんが手がけた代表作となる戯曲「夏の砂の上」が原作の同作。「雨が一滴も降らず、からからに乾いた夏の長崎」を舞台に、幼い息子を亡くしたオダギリジョーさん演じる小浦治と満島ひかりさん演じる妹・阿佐子の17歳の娘で、高石あかりさん演じる優子との突然の同居生活から物語がスタートし、希望の芽を見つけていく姿を描く。愛想を尽かした妻・恵子を松たか子さんが演じる。
昨年9月に全編長崎市でロケが行われた同作は今年の上海国際映画祭で審査員特別賞を受賞した。住宅街や商店街など生活に身近な風景、高台にある主人公の自宅などが描かれ、坂の多い長崎の美しい街並みが物語の余白を埋める大きな役割を果たしている。
ロケハンから同行し、ロケ地の情報提供などの支援を行った長崎県フィルムコミッションは、「長崎を訪れる観光客や地元の人にも映画を通して長崎の魅力を知ってほしい」とロケ地マップを制作。マップには、中通り商店街や思案橋横丁など長崎市内中心部を中心に12カ所を掲載している。長崎県フィルムコミッションの上島宏太さんは「一見どこにでもありそうな長崎の日常の中で描かれたような作品。治たちが歩いた長崎の街を体感してもらえれば」と利用を呼びかける。
配布は8月下旬までを予定。オダギリさんの出身地である岡山県津山市や東京、大阪、福岡などでも配布するほか、県の観光サイトでも閲覧できる。