史跡出島(長崎市出島町)で3月24日、敷地内で行われている発掘調査の現場ツアーが行われる。調査で発見された礎石や遺物などを学芸員が解説を加えながら紹介する。
長崎市が19世紀初頭の出島中央部分の建物6棟の2016年度復元完成を目指している。現在、第3期事業の発掘調査で広範にわたって19世紀の地表が現れている。
発掘調査では、19世紀にオランダ人の書記が住んでいた「筆者蘭人部屋」、砂糖や丁子の蔵「十四番蔵」の礎石の一部などを発見。幕末から明治時代のフランス人の居宅跡やプロシアの商人クニフッラー商会の石造倉庫の礎石も見つかっている。
土層からは、1798年に出島で起こった大火災の状況を物語る土や焼け落ちた瓦を利用した盛り土を発見した。建物の裏庭にあった19世紀のごみ穴からはオランダ商館員が使った肥前有田製の磁器・西洋陶器や調理器具、動物の骨や貝殻、別の場所からは江戸時代の金貨やオランダ製の銀貨など当時の生活環境がわかる品などが次々と発掘されている。
長崎市出島復元整備室の岩永貴博係長は「調査を終える夏以降、遺構の保護のために埋め戻す。現場ツアーでは礎石や焼け焦げた土などを発掘現場に入って直接見ることができる。この場所に建物を復元するため、19世紀初頭の地表を見られる貴重な機会。ぜひ見学を」と呼び掛ける。
時間は10時30分~11時30分、13時30分~14時30分の2回。参加無料。「長崎学さるく」のホームページで申し込みを受け付けている。