首都大学東京(東京都八王子市)の渡邉英徳准教授が代表を務めるNagasaki Archive制作委員会が、長崎の被爆の実相を伝えるオンライン・アーカイブ「Nagasaki Archive(ナガサキ・アーカイブ)」を8月2日、大幅バージョンアップした。
同アーカイブは長崎の被爆者体験や被爆当時の風景写真などを「Google Earth」上で立体的に俯瞰(ふかん)しながら被爆者の写真や体験談を閲覧できるサービスで、2010年に公開された。1945(昭和20)年8月9日に被爆した場所と現代の写真を重層表示し、被爆から復興した長崎の様子を体感できる。
今回のバージョンアップでは、長崎原爆資料館、高校1万人署名活動実行委員会らの協力を得て、アーカイブの被爆証言や写真資料を約60件追加(8月9日追加)、文字証言だけでなくビデオ証言の追加、使いやすさの向上など、アーカイブとしての機能を向上させている。
バージョンアップに併せて、iPhone・iPad向け専用アプリの提供も開始。アプリを活用することで、長崎の現実の街並みと連携し、自分の身の回りにある被爆資料を地図またはカメラの拡張現実(AR)ビュー上に重ねて閲覧することができる。
制作委員会の担当者は「2010年の発表後、『Hirosima Archive(ヒロシマ・アーカイブ)』で実装した視点の切り替え機能や『東日本大震災アーカイブ』制作時の実績を踏まえバージョンアップした。被爆地長崎には多くの資料が残っているが、長崎に足を運ばないとなかなか見ることができないので、全世界から簡単にアクセスできるように作った。バージョンアップで長崎に残っている被爆者一人一人の体験の実相に迫るアーカイブになった。今後は修学旅行生向けの平和学習ツールとしても展開する予定」と話す。