長崎の漫画家が原作の介護映画「ペコロスの母に会いに行く」の映画制作発表・総決起大会が8月23日、ニュー長崎ホテル(長崎市大黒町)で行われた。
当日の参加者は約250人。同作品の応援フェイスブックページと地元メディアからの呼び掛けにより集まったという。名誉応援団長の田上富久長崎市長も応援に駆け付けた。
同作品は長崎在住の漫画家兼シンガー・ソングライター岡野雄一さんの漫画が原作。認知症を患う母との介護生活を描いている。85歳の認知症の母と還暦過ぎの息子・雄一の心温まる日常のやりとりが共感を生み、フェイスブックや口コミで評判が広がり、映画化につながった。
岡野雄一役を岩松了さん、若いころの母みつえ役を原田貴和子さん、若いころの父役を加瀬亮さん、みつえと同じ施設に入っている親を持つ息子の役を竹中直人さんが演じる。同会には出演者らも同席した。
プロデューサーの井之原尊さんは「従来の映画の作り方とは違い、フェイスブック上の一人一人の「いいね」や本を読んだ感想をシェアすることでここまでファンが広がってきた。まだ映画が完成していないのに、このように盛大な製作発表ができて驚いている」と喜びを表した。
長崎市出身の原田さんは「たくさんの人に支えられ映画に参加できることをうれしく思っている。長崎の空気や匂い、長崎弁の優しさを伝えたい」、川棚町出身の岩松さんは「長崎の話を聞くと懐かしくもあり恥ずかしくもある。原作には自分が捨ててきたものがより確かな形で表現されている。ハウステンボスの撮影があるので、その途中にでも川棚の景色が映ればいいと思う」と、故郷への思いを膨らませる。
竹中さんは「『まぼろしの邪馬台国』を長崎で撮影したときに吉永小百合さんと過ごした時間を思い出す。ハゲにコンプレックスを感じる役を長崎の空気感を感じながら演じたい」と笑わせた。加瀬さんは「原作には自分がどこかに置いてきた人の思いがちりばめられている。人が思い合うということを映像の中に落としたい」と力を込めた。
岡野さんは「実は現実について行っていない自分がここにいる。笑いあり涙ありの森﨑節120パーセントの映画を作ってほしい。原作に遠慮なく料理してほしい」と緊張の面持ちであいさつ。脚本を担当する阿久根知昭さんは「原作をベースにするが、大きなスクリーンで映画を見て良かったと思える脚本にしたい。岡野さんのキャラがいい。長崎のゆるキャラにしてほしい」と話し、会場を笑わせた。森﨑東監督は「監督なんておらんでもよか。そいでよか。期待してください」と力強く宣言した。
岡野さんのオリジナル曲「寺町坊譚」も歌われ、フェイスブックでの情報拡散に一役を担った村岡克彦プロデューサーが「どんがんでんなる三唱」で同会を締めた。
長崎でのロケ開始は9月4日から。9月中にほとんどの撮影を終え、来年2月の長崎ランタンフェスティバルのシーンが最終撮影の場となる。来夏に長崎で先行上映し、全国公開は秋を予定する。