長崎・眼鏡橋近くにある長崎凧(ハタ)専門店「大守屋」(長崎市古川町、TEL 095-824-2618)で早くも来年の干支(えと)である「巳(み)」をデザインしたミニ凧が人気を集めている。
「既に巳年のミニ凧は用意していたが、10月7日~9日の長崎くんちの帰りに観光客や地元の人が次々に巳年のミニ凧を買い求めに来たので慌てて追加で作っている。原因は分からないがうれしい悲鳴だ」と店主の大久保学さんは話す。サラリーマン時代に十数年間、趣味でハタを作っていた大久保さんは、2010年9月に55歳で脱サラし同店をオープンした。12坪ほどの店内は町屋のように細長く、一番奥は大久保さんの作業がオープンで見える造り。眼鏡橋の近くということもあり、多くの観光客が訪れるスポットになっている。
「巳年のミニ凧は『巳』の文字をデザインしたものや、蛇の形をデザインしたものなど数種類があるが、特に文字をデザインしたものが人気」と同店を手伝う娘の有利子さんは話す。長崎ではハタは主に贈答用に用いられ、開店祝いや新築、誕生祝いなど幅広く使われるが、同店では贈答用や縁起物のお土産としては「逆さ福」のミニ凧に人気が集まっているという。「逆さ福」とは福の字を逆さまにして家に貼る長崎の習慣で、元来は中国の春節祭での習慣が伝来したもの。中国では倒福と呼ばれ、「倒」を同じ発音の「到」の意味に置き換えて「福運が到来する」と言われている。長崎でも同じ意味で縁起物として扱われる。
「今まで何度も不合格だった試験に合格したとか、やっと結婚できたとか、あらゆる『いいこと』が起こりましたという報告が全国から次々に集まってくる。中にはわざわざ遠方から報告するために来店する人も少なくないし、大型の逆さ福を追加注文される人もいる。当店では特別に何もしていないので不思議だが、買った人が幸せになるのはハタ屋として本当にうれしい」とも。
ミニ凧の価格はいずれも1,000円。営業時間は10時~19時。