長崎中通にあるコインパーキング「龍馬駐車場」(長崎市麹屋町、TEL 095-825-3439)内に昨年末、成人限定販売機能付きの「エイズ感染予防自販機」が登場した。
財務省認定の運転免許証による認証システム。成人の免許証を挿入すると「購入可」が点灯し、購入できる。
自販機を開発したのはコインパーキングを経営する西津健三さん。西津さんは「面白自販機」の発明者として全国放送のテレビなどメディアでも取り上げられたことがある地元の有名人。「龍馬グッズ自販機」「静岡おでん缶」「萌えみこ・おみくじ」などユニークな自販機や商材を開発してきた。
「昔、実家のケーキ屋で25年ほど修業していたとき、お客さんの笑顔が何より大好きだった。人を喜ばせることがしたいと思い、ユニーク自販機を開発してきた」と話す西津さん。昨年夏、エイズ予防財団の資料から国内のエイズ新規感染者が毎年1,000人以上いることを知り、自分も何か社会貢献できないかと考えた。「今までは面白いものばかり考えてきたが、今回はまじめに社会貢献しようと思った。エイズの予防には衛生用品の使用が最適だが、なかなか話題にしづらいアイテムなので、自販機を使って何とか貢献できないかと考えた」
西津さんは実現に向けて動き出すが、長崎県少年保護育成条例などの法令による規制が厳しいアイテムであることがだんだん分かり、大きな壁にぶつかった。「法律上は『管理医療機器販売機』ということになり、注射針などの医療機器のように規制が厳しい。もう無理かと思うこともあったが、規制の目的と同じように青少年の保護育成とエイズの予防に貢献するという信念は変わらなかった。その思いを一生懸命にぶつけた結果、行政側の理解も徐々に高まり実現に至った。県担当者の方には心から感謝している」と振り返る。
たばこの自動販売機を応用し、運転免許証を使って成人しか購入できないシステムを導入することで昨年12月、長崎県知事の届け出済み証を取得できたという。西津さんは「大人女子のおしゃれ自販機」と名付け、「愛する人と自分自身を守るため」と自らの思いも看板に併記。財務省認定の成人認証システムを使った管理医療機器販売機としては国内初のケースになるという。
「正直、人によっては不愉快に思う人もいると思うので積極的な宣伝はしていない。設置には細心の注意を払い、通りからは見えないようにコインパーキングの目立たない場所に置いている。製品は全て国内メーカーの高品質のもので、ドラッグストアなどではあまり扱わないものを置くようにしている。スタッフに毎日、掃除や点検などのメンテナンスをさせ、必要な人が24時間安心して買えるように心掛けている」とも。同自販機の売り上げの一部はエイズ予防財団などに寄付するという。
価格は500円~1,500円。一番売れている製品は「RED RIBON PROJECT」の製品で、メーカーが売り上げの一部をエイズ予防財団に寄付する。