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全園児8人の運動会、長崎・淵神社の幼稚園で開催-全員に金メダル

下條園長の前で選手宣誓をする園児ら

下條園長の前で選手宣誓をする園児ら

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 長崎・淵神社境内にある宝珠幼稚園(長崎市渕町)で9月28日、保護者や卒園した児童、学生や社会人など約100人が見守る中、全園児8人の運動会が開催された。

全園児によるマスゲーム「稲佐山」

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 同園は1972(昭和47)年に開園。卒園者に歌手の福山雅治さんがいることから、全国のファンが訪れることでも知られている。8人の園児のうち、今年入園したのは年中と年少の男児2人。下條一仁園長は「開園当初は多くの園児たちでにぎわっていたが、少子化に伴い年々減ってきた」と話す。同園の近隣は高齢化が進み、送迎バスがないことから園児の確保が難しい状況が続いている。

 園児が少ない状況がかえって保護者との交流を強め、保護者以外の多くの協力者の存在も幼稚園の運営を支えているという。

 「協力者の方たちに音響機器を貸してもらったり、スタッフとして参加してもらったりしながら運営している。常勤スタッフだけでは限界があるので、とても助かっている」と下條さん。保護者らの協力で、今年夏には念願の幼稚園のホームページが完成した。

 9時30分の開式の言葉の後、国歌斉唱・国旗掲揚に続いて神社らしく本殿に向かって全員で参拝。園長のあいさつに続き、園児代表が力強く宣誓を行った。競技は全部で12プログラム。全園児が参加する「かけっこ」「マスゲーム」「玉入れ」に続いて行われた綱引きでは、卒園した小学生児童らによる男子チームと女子チームが対戦。男子チームには女性の先生を、女子チームには男性の先生を加えることでバランスを取ろうとしたが、1回戦は圧倒的な男子チームの勝ちになったため、審判の独断で急きょ成人女性のスタッフ2人を女子チームに追加。男子チームからクレームが出ると、「どう見ても同じ女子学生だからオーケー」と半ば強引に続行。その結果、2回戦はあっという間に女子チームが勝利して引き分けとなり、観客から大きな笑い声と拍手が起こった。

 園児年齢別かけっこでは、年少クラスの男児は後ろ向きで走る男性教諭と対戦。前を向いて走る男児が同教諭に大きく差を付けてゴールした。その後も保護者や祖父母と力を合わせて参加する競技が行われ、園庭は応援の声や笑い声に包まれた。園児が母親と踊るダンスでは、卒園生でもある福山雅治さんが歌う「生きてる生きてく」(映画「ドラえもん」の主題歌)に合わせて全園児が踊ると、他の観客らもリズムに合わせて手をたたいたり、体を揺らしたりした。

 11時40分ごろ、全プログラムが終了。閉会式のメダル授与では、BGMに福山さんの「家族になろうよ」が流れる中、小さな表彰台に園児が一人ずつ登壇。下條園長が一人一人の名前を呼びながら園児の首に「金メダル」をかけた。金メダルをもらった園児らは「ありがとうございました」と、しっかりした声であいさつすると、うれしそうにメダルを眺めていた。

 運動会を見学していた女性は「和歌山から観光に来た。福山さんのファンなので淵神社に参拝に来たら、福山さんの歌が次々に流れていたので慌てて見に来た。園児たちの姿が幼い福山さんのイメージと重なりとてもかわいかった。いい思い出になる」と話していた。

 下條園長は「運動会はみんなで楽しむことが最優先。園児たちが一生懸命に頑張る姿を見ていると、大人の方が教えられることも多い。幼児期の教育環境次第では、その後の人生が大きく変わることもある。今年は8人だが、縁あって入園した子どもたちの成長を卒園までしっかりと見守り、支えていきたい」と話す。「運動会と言えばお弁当。楽しいお弁当の時間を復活できるくらいに園児が増えてくれれば」とも。同園の運動会は毎年9月の最終土曜日に開催される。

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