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長崎・八幡町で「体験・くんち料理会」-甘酒の振る舞いも

どじょうに酒を注ぐ子どもたち

どじょうに酒を注ぐ子どもたち

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 長崎・八幡町の公民館(長崎市八幡町)で9月29日、昔の家庭で振る舞われていた「くんち料理」を再現・試食する「体験・くんち料理会」が行われた。主催は八幡町青年団。

実際に出された料理を再現した膳

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 昔はどこの家庭でも振る舞われていた「どじょう汁」「ざくろなます」「甘酒」などの「くんち料理」を再現・試食することで、地域の歴史や文化に触れ、世代を超えた交流促進を目的に1999年に始まった同会。7年に一度の踊り町の年を除き、毎年9月の最終日曜に行われている。今年で12回目。

 開催に先立ち、27日は甘酒作り。28日は飾り付けに使う「とんご柿」やクリなどを子ども会が採集に出掛け、料理の仕込みなどの準備を開始。開催当日は9時から調理を始め、12時からの料理会に臨んだ。

 同館の入り口には、試食する「くんち料理」の膳を再現したものや、とんご柿やクリ、桃まんじゅうなどを三方に山盛りした飾り付けが施された。通行人らが珍しそうに足を止め、中には料理をカメラで撮影する人もいた。集まった人たちには甘酒が振る舞われた。11時ごろ、公民館前に集まった小学生男児らがボールに入った「どじょう」に酒を注ぐと、どじょうが一斉に暴れ出して白く泡立ったが、しばらくすると次第に動かなくなった。ボールは調理場に運ばれ、町内の主婦らによってどじょう汁の調理が始まった。

 材料の調達、調理、会場設営など同町民らがそれぞれの立場で協働参加することにより、世代間の縦のつながりを強化。特に子ども会に参加する若手主婦らは、長年の経験に基づくベテラン主婦らの実践指導により、しきたりや調理法を学び、子どもたちは手伝いを通して地域への参加意識を育む。同町自治会広報部長の中川勝二さんは「小さな催しだが、その参加過程が『まちづくり』『人づくり』の一部になっている」と話す。

 用意された献立は「どじょう汁」「ざくろなます」「煮しめ」「十六寸豆」「小豆ご飯」「甘酒」と「栗ようかん」の7品。長崎くんちでは、祭りで使う衣装や小道具を事前に披露する「庭見せ」で「ざくろ」を飾る風習がある。実が多いため「子孫繁栄」のシンボルとされるザクロを添えた「ざくろなます」は長崎では縁起料理の一つ。小豆ご飯はおこわではなく、普通のご飯に小豆を入れて炊く。

 料理会には諏訪神社の神官や地元小学校の教職員、町内のお年寄りや子どもたちなど約80人が招待され、子どもたちの「いただきます」の言葉を合図に参加者らは談笑しながら素朴な料理に舌鼓を打った。外国語指導助手(ALT)として長崎市内の小学校で英語を教えているオーストラリア出身のローラさんは「このような形で日本の料理を味わうのは初めて。見た目がきれいで、どの料理もとてもおいしい」とほほ笑む。同町は来年、「弓矢八幡(はちまん)祝い船」「剣舞」を出し物に長崎くんちの踊り町として出演する。

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