「御湯神指し」実話本、長崎・好文堂書店で取り扱い開始 

「御湯神指し」の中島恵美子社長

「御湯神指し」の中島恵美子社長

  • 29

  •  

 好文堂書店(長崎市浜町)が11月1日、1998年に長崎県の山中で実際に起きた「御湯神指し(おんゆかみさし)」に関する実話本「いのちのサウナ」の取り扱いを始めた。

[広告]

 「御湯神指し」とは、風頭大権現(かざがしらだいごんげん=伊良林3)の故・四方田京子斎主が命名した施設名。昨年7月に亡くなった中島勝義さんが2000年6月に開業した国内唯一のドーム式石釜サウナと温泉の施設「ベストパワーランド 御湯神指し」(諫早市飯盛町)が正式名称で、2010年3月に「サウナ用石積み建築物およびその施工方法」で特許を取得。石材には「麦飯石(ばくはんせき)」を使用し、燃料として松を燃やしている。

 土木建設会社「川内組」を経営していた中島さんは公共事業などの外部要因に左右される先行きに不安を感じ、好況時に担保物件として取得していた北高来郡飯盛町(現諫早市飯盛町)の土地活用を新規事業として考え始める。当初は高齢者施設を計画したが、現在ほど需要がなかったうえ、地元の反対で頓挫。次に「温泉施設」を考えたが、調査を依頼した熊本大学や長崎大学の地質学の教授に「この調査結果では絶対に無理」と断言される。

 1983(昭和58)年、知人から風頭大権現の四方田斎主を紹介された中島さんは、命名した漁船や商売が繁盛すると評判だった斎主に「温泉が欲しい」と相談する。斎主は自身が行っている「伊勢神宮」など5カ所への毎月参拝100カ月(8年4カ月)に同行するよう中島さんに提案。中島さんは5年間毎月同行し、その後も風頭大権現への毎日参拝1000日間、雲仙温泉神社への毎月参拝60回(5年間)を欠かさず実行した。

 雲仙温泉神社の参拝が終わりに近づいた1990年11月、中島さんの鼓膜に異変が起こる。そのことを伝えられた四方田斎主は「まもなく雲仙が爆発するのでは」と答え、約1週間後の11月17日に雲仙普賢岳が噴火する。

 噴火から約6年半後の1997年7月30日、「マグマが飯盛に動いているはず」と言う四方田斎主は、「ここを掘りなさい」と中島さんの所有地のある地点を指し示す。中島さんが翌年8月からボーリング掘削を始めたところ、約1カ月後の9月5日に温泉が噴き出した。

 その後、中島さんは役場に水道管の敷設を申請するが「あまりにも山の中。費用的にも無理」と断られる。再び四方田斎主に相談すると、指し示された2カ所からPH7~8のミネラル豊富な地下水が湧き出した。

 一人娘で現社長の中島恵美子さんは「何ごとにも命懸けの父だったが、実際に温泉が出るまで信じる人はほとんどいなかった。お金もどんどん無くなり、家族でさえ『もうダメかも』と諦めかけた。今では口コミで多くの方が県外からの来館者で、『体調が良くなった』『諦めていたが妊娠できた』という体験談をお客さまから教えてもらう。父の夢が実現した話を少しでも多くの人に読んでもらえたら、きっと天国で喜んでくれるだろう」と笑顔を見せる。

 「あとは恵美子の結婚相手探しだけ」と母の佳子さん。

 サイズはA5判、109ページ。800円。

  • はてなブックマークに追加
エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース