日本ふんどし協会(東京都渋谷区)が「ふんどし返しの日」として制定する3月14日を目前に控え、長崎市内の中小企業4社がご当地アイテム「ながさきふんどし」を共同開発した。
日本古来の文化である「ふんどし」の普及を図り、ふんどしに対する理解と関心を高めようと2011年12月14日に設立された同協会。ふんどしの普及・流通を図るため、2月14日を「ふんどしの日」として制定したり、ふんどしの普及に貢献したプロフェッショナルを「ベストフンドシスト」として年1回表彰したりする活動を行っている。第1回ベストフンドシスト大賞は、お笑いグループ「安田大サーカス」の団長安田さんが、第2回大賞には東京エフエムの番組内で「コラボふんどし」を実現させて普及に貢献したフリーアナウンサーの住吉美紀さんが、それぞれ受賞した。
同協会は2月14日を「ひい、ふう、みい…」と数える昔ながらの方法を用いて「ふん、どお、しい」と読めると判断。さまざまな記念日を認定する団体「一般社団法人・日本記念日協会」(長野県佐久市)に「ふんどしの日」として申請したところ公式認定された。これに伴い日本ふんどし協会は3月14日を必然的に「ふんどし返しの日」になると強引に宣言。「チョコレートをもらった方も、ふんどしを返しましょう」と同協会の公式ホームページで呼び掛けている。
「ながさきふんどし」を共同開発したのは長年数多くのご当地グッズを企画・製造・販売してきた「鳴滝」と、創業100年を超えるオリジナルタオルの老舗「三瀬商店」、「にゃがさきねこ」のキャラクターを生み出した「デザイン・スーパーマーケット」、布ナプキン・布おむつ専門店「りぼん」を運営する同名企業の4社(いずれも長崎市)。
きっかけは鳴滝の内山洋二社長が「長崎の若手と老舗の企業が組んで何か新しい価値を創りあげよう」と呼び掛けた一言。「りぼん」を除く3社は2012年に長崎名物と猫を組み合わせたキャラクターグッズを共同開発した経歴がある。当時「鳴滝」は関連会社の「竹下隆文堂」として参加。3社は同年6月に最初の商品「にゃがさきてぬぐい」を発売。昨年8月にはオリジナル菓子「ねこの毛玉」やガーゼハンカチなどの販売アイテムを増やし、さまざまなメディアやインターネットなどを通じて認知度が広がっている。この企画も若いデザイナーの才能を地元長崎の活性化というコンセプトで何とか花開かせたいという内山さんの強い思いがベースにあった。
ある会合で内山さんは「りぼん」の大原万里亜社長と出会う。内山さんはその時、大原さんとの何気ない雑談の中から「りぼん」の可能性について「ピン!」と来るものを感じたという。翌日、内山さんは同店を訪ねた。「びっくりした。次の日には店に来ていただき、『あなたが一番やりたいことをぜひコラボで実現させよう』と熱く語ってもらった。初めてのことで感激した」と話す大原さん。内山さんの問いかけに「布ナプキンはもちろんだが、体の健康のためにも誰もが思わず身につけたくなるようなふんどしを作りたい!」と正直に答えた。「よし!やろう」。小さな店内に内山さんの声が響いた。
内山さんは「にゃがさきねこ」の生みの親であるデザイナーの古澤かのこさんを大原さんに紹介。「後は若い人同士で好きなように進めなさい」と、ほとんど自分は口を挟まなかったという。大原さんと古澤さんは何度も検討を重ねた結果、「ふんどし返しの日に使えるかわいいご当地ふんどし」で意見が一致。企画を練り直しながら何度も何度も試作を繰り返し、やっと完成にこぎつけたという。内山さんは物心両面で陰から大原さんたちを支え、製品化を具現化させた。
完成したふんどしのコンセプトは「マーメードになる」。ふんどしを付けた位置から下に魚のウロコが並んで見えるようなデザインが施され、「上半身と一体で見るとマーメード(人魚)に見える」と古澤さん。大原さんは「ふんどしの付け方を解説するイラストを『にゃがさきねこ』で描いてもらった。あまりにもかわいくて思わず買いたくなった」と、ほほ笑む。
一枚一枚を手作りする「ながさきふんどし」は前面に垂らす「前垂れ」部分が全て違う柄になっている。「女性は柄を選ぶことが大好き。選ぶ楽しみを盛り込んだ。ひもは腰の横で結ぶようにして、ちょっとおしゃれな感じ。受け取った女性も贈った男性も喜んでもらえると思う」と話す大原さん。「内山社長と出会えなかったら出来なかった企画。心から感謝している」とも。
サイズは35センチ×85センチ。価格は3,000円(税別)。「りぼん」では3月14日にふんどしを購入した人にクッキーをプレゼントする(なくなり次第終了)。