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長崎市立図書館で市民フォーラム-「サクラサク」の田中光敏監督が講演

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 長崎市立図書館(長崎市興善町)新興善メモリアルホールで3月23日、映画「精霊流し」「利休にたずねよ」などの監督として知られる田中光敏さんを招いて市民フォーラムが開かれる。主催は長崎市。

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 田中監督は1958(昭和33)年、北海道生まれ。CMディレクターとして数多くの企業CMを手がけてきた。劇場映画では「化粧師-KEWAISHI」(2002年公開)が初の監督作品。その後、さだまさしさん原作の「精霊流し」(2003年)、「火天の城」(2009年)、「利休にたずねよ」(2013年)を手掛けている。最新作で来月公開予定の映画「サクラサク」では、祖父の認知症をきっかけに家族の葛藤と絆が取り戻されていく姿が描かれている。ロケは福井県で行われたが長崎市出身の歌手・さだまさしさんの「解夏(げげ)」が原作。

 配給大手の東映は今年1月、明治時代に和歌山県串本町沖で発生した「エルトゥールル号遭難事故」を題材にした日本・トルコ合作映画を2015年に公開すると発表。田中監督がメガホンを取るがキャストなどの詳細は明らかにされていない。

 1890(明治23)年9月16日、明治天皇への謁見を終えたオスマン・トルコ帝国海軍の軍艦エルトゥールル号が帰国する途中で嵐に遭遇。600人以上の乗組員全員が荒れた夜の海に投げ出される海難事故で、日本海難史上最悪の事故として知られている。近くの大島村(現在の串本町)の住人たちが遭難者を懸命に救助し生存者を介抱した結果、69人の命が救われた。村民たちは自分たちでさえ困っている中で遭難者に多くの食料や衣類を与え、亡くなった乗組員の遺体は棺に入れて丁重に埋葬したという。この事故は日本とトルコとの友好関係のきっかけとされ、串本町では今でも在日本トルコ大使館と共催で5年ごとに慰霊祭を行っているという。

 トルコでは今でもこの史実を歴史の授業で教えているというが、そのトルコが95年後の日本に恩返しをする。1985(昭和60)年3月17日、イラクのフセイン大統領が「今から48時間経過後、イラン上空を航行する航空機は全て撃墜する」と突然宣言する。イランの首都・テヘランの空港には脱出しようとする人たちが殺到。日本以外の各国は救援機を出して自国民を次々に救出していたが日本は自衛隊も航空会社も救援機を出すことができず、空港に残された日本人はパニックに陥った。在イラン日本大使館は手をつくして救援機を出した各国と交渉して日本人の救出を要請。多少応じてくれる国はあるものの、当然ながらどの国も自国民のことで精一杯の状態。最終的に215人の日本人が空港に残された。

 日本の野村・イラン駐在大使が個人的な親交に望みをかけてトルコのビルレル・イラン駐在大使に窮状を訴えた。ビルレル大使は「トルコ人なら誰でもエルトゥールル号の恩義を知っている。恩返しの時だ」と応じ、トルコ政府が動いた。トルコ航空の自国民用の救援機最終便を急きょ2機に増やし、日本人215人全員を乗せてイランを脱出したのはタイムリミットの75分前だった。トルコ機は自国民のうち陸路でも脱出できる者は救援機に乗せず日本人を最優先。救援機に乗れなかった約500人のトルコ人は陸路自動車でイランを脱出した。当時の日本政府は「なぜトルコが助けに来てくれたのか?」全く理由が分からなかったという。

 フォーラムでは「映画づくりに見る市民力」と題して田中さんが講演する。講演時間は14時~16時。入場無料。先着120人まで。

 問い合わせは長崎市市民活動センター「ランタナ」(TEL 095-829-1125)まで。

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