長崎市民が選ぶ「ランタナ大賞」創設-参加料と投票が寄付につながる

「熱い思いをぜひ聞きに来てください」と呼び掛ける稲岡さん(右)と本庄祐子係長

「熱い思いをぜひ聞きに来てください」と呼び掛ける稲岡さん(右)と本庄祐子係長

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 長崎市立図書館多目的ホール(長崎市興善町)で3月16日、長崎市民が選ぶ市民活動表彰イベント「ランタナ大賞」が行われる。主催は長崎市市民活動センター「ランタナ」。

ランタナの外観。国登録有形文化財でもある。

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 「ランタナ」がある建物は旧長崎市長公舎。1922(大正11)年に民家として建てられた木造2階建て住宅で、長崎市が取得した後は市長公舎、教育研究所、ベンチャー企業センターなど、公的施設として活用されてきたため内部は大きく改変されている。しかし外部に半円形に突き出た応接室やマンサード屋根、レンガ張りの壁など、国道の拡張などで一部解体や増築などが施されているものの建築当時の姿を保っている。現在、県庁・市役所通りの大正期の雰囲気を残しながら現存する数少ない歴史的建築物として国登録有形文化財に指定されている。

 非営利で公益的な市民活動を総合的に支援する拠点として2008(平成20)年10月に発足した同所。手頃な利用料で使えるオフィスを市民団体に開放したり、さまざまなイベントを企画・運営したりすることで団体相互の交流やネットワークを拡大させる活動などを長崎市・市民協働推進室が運営している。

 市民団体の会合の時に「市民活動をもっと積極的に表彰し、広く市民に知ってもらう活動はできないか?」という声が以前からたびたび起こっていた。担当職員が市民団体のメンバーらに「必要なものは何か?」と問いかけるたびに「活動資金」という声が異口同音に上がっていた。「いい内容の活動をしていても知られていないのでは十分に力が発揮できない。知られても活動資金の獲得になかなかつながらない。この両者を何とか結びつけることはできないか?」。職員らと団体メンバーは話し合いを続けながら一つの答として今年、「ランタナ大賞」を創設した。

 「いろいろな人に関わってもらったおかげで公務員の自分たちでは考えも及ばないようなアイデアが次々に出てきて大変勉強になった」と、同賞の運営を担当する稲岡涼子さんは振り返る。稲岡さんが同所に配属されたのは約1年前。それまではさまざまな部署を回ったという。「正直、親の勧めで何となく公務員になったが、市役所に入って本当に良かったと思う。もし民間企業だったら、これだけいろいろな職場を経験させてもらえることは絶対ないと思う」と話す。「スポーツを担当した時も面白かったが、市民活動をサポートするのがこんなに面白いとは思わなかった」とも。

 同賞はランタナに登録する団体が過去1年間の活動内容をエントリーし、団体相互の互選で上位5団体を選んで公開プレゼンテーションを開くもの。エントリーは昨年9月に締め切られ、エントリーした51団体に対し71団体から210票が集まった。

 公開プレゼンテーションに挑戦するのは、出前平和講座などの活動を行っている「ピースバトン・ナガサキ」、トイレシンポジウムの開催や「まちかど」トイレを推進している「みんなにやさしいトイレ会議」実行委員会、おもちゃドクターの養成活動などを行っている「長崎おもちゃ病院」、定年後などのセカンドデビューを応援する「ながさきダンカーズ倶楽部」、お手玉を使ったゲームや健康体操などの普及活動をする「もってこい長崎レクリエーショングループ・お手玉の会」の5団体。プレゼンテーションに与えられた時間は各団体15分。公開プレゼンテーションで上位入賞した団体には表彰状とともに賞金が贈られるが、資金は銀行や建設会社、タクシー会社など5社から協賛を募り、当初予算に合算して充てた。大賞は10万円、2位5万円、3位3万円。奨励賞として1万円が贈られる。

 「今回のイベントは公的機関のイベントとしては、かなりユニークで面白い」と太鼓判を押す稲岡さん。「普通は入場無料にすることが多いが、今回は見学者に参加料として一人100円を出してもらう。これには賛否両論、喧々諤々(けんけんがくがく)あったが、最後は『エイヤー!』と決めてもらった」。

 参加料を支払った参加者は、1人1枚ずつ「投票用シール」が与えられる。プレゼンテーション審査終了後の投票タイムで自分が一番だと思う団体の投票箱にシールを入れる。表彰式で投票箱が開票され、各団体別にシールが貼られていくという。「ここがドキドキ、ワクワクの見せ場になると思う」と稲岡さん。各団体にはシールの得票数に応じた参加料が寄付金として贈呈される。投票には最後までプレゼンテーションを見た参加者のみが参加できる。

 「会場は最大でも150席なので満席でも1万5,000円を分配することになる。しかし、このお金の意味はとても大きい。金額はともかくモチベーションが上がるきっかけになるはず」と力説する稲岡さん。「団体活動を上手にアピールできなければ知ってもらうことはおろか資金を得るチャンスも遠ざかる。いろいろな意見はあると思うが、最初はみんなで小さく始めて少しずつ大きく育てていきたい。どの団体も一生懸命頑張っているので、どうか100円握りしめて応援しに来てほしい」と参加を呼び掛ける。

 13時開場、13時30分開会。問い合わせはランタナ(TEL 095-829-1125)まで。

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