長崎の海水浴場で歌手・上奥まいこさんライブ-後援会も発足

「外は雨」を歌う上奥まいこさん(左から2人目)

「外は雨」を歌う上奥まいこさん(左から2人目)

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 長崎市南部にある高浜海岸交流施設(長崎市高浜町、旧高浜海水浴場)内にある「Nomon’s Cafe」で8月11日、長崎出身の歌手・上奥まいこさんのライブが行われた。

コミカルな曲「ちゃんぽん」を歌う川田さん(左)

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 旧高浜海水浴場は2001(平成13)年に「日本の水浴場88選」(環境庁選定)、2006(平成18)年には「快水浴場百選」(環境省選定)に選ばれるほど多くの人でにぎわっていた海水浴場。長崎半島(別称・野母半島)のほぼ中央に位置し、目の前には軍艦島(端島)が見える絶好のロケーション。全盛期には10軒以上の海の家が並んでいたが近年の海水浴客減少で激減。長崎市が再整備に乗り出し、7月15日に海岸交流施設「高浜アイランド」としてリニューアルオープンしたばかり。

 上奥さんは8月9日、グラバー園(南山手町)で開催中の「グラバーナイト」に出演。翌10日には、さだまさしさんらが出演する稲佐山でのチャリティーコンサート「長崎から東北へ2014」でオープニングアクト(前座)を務め、この日の高浜でのライブまで3日間連続で歌を披露した。「恋するフォーチュンクッキー」の作曲家で上奥さんの曲を作曲している伊藤心太郎さんと、編曲を手がけるギタリストの草野よしひろさんも東京から駆け付け全てのライブに参加した。主に上奥さんが作詞、伊藤さんが作曲、草野さんが編曲を手がけている。

 19時、会場は上奥さんの支援者など約50人が集まり満席状態。長崎で活躍する先輩歌手・川田金太郎さんが「皆さん、お待たせしました。上奥まいこです」と声色を変えてあいさつすると会場がどっと沸いた。続いて「上奥まいこは来年、紅白に出場します」と大声で宣言。拍手が鳴り止むのを待って「まだ話しちゃダメですよ。決まっていないんだから」と会場を笑わせた。3曲披露した後、オリジナルの長崎観光応援ソング「ちゃんぽん」で会場を盛り上げバトンタッチ。「待ってました」「まいこ~」という声に迎えられて上奥さんが登場した。

 オープニングで「寄り添い」を歌った後、セカンドCD収録曲「真夏のハレーション」を軽快な手拍子に乗せて披露する上奥さん。「フォーチュンクッキーの作曲者」と伊藤さんを紹介する上奥さんが歌うのを期待する観客らに「まさか歌いませんよ」と笑いながら応じた。

 ファーストシングル「オレンジ色の観覧車」では上奥さんの話を元に伊藤さんが「観覧車」(茂里町のココウォーク)や稲佐山のことを調べて作詞したことを紹介。「観覧車が出来た時には東京にいたので、実際は男性と乗ったことはない」と明かした。続く「さよなら・ありがとう・ごめんね」を披露した後、長崎のライブ限定でコーラスを担当する幼なじみの鈴木妙里さんが口を開いた。鈴木さんは山崎まさよしさんの大ファン。稲佐山ライブで観客席から山崎さんの歌を聞くことを楽しみにしていた鈴木さんは「まいこから『前座に出ることになったから、コーラスお願い』と電話があった時、凄く驚いた」と明かす。「楽屋で山崎さんが普通に接してくれて、ますますファンになった。憧れだった稲佐山のステージに一緒に立たせてくれて本当にありがとう」とほほ笑む鈴木さんに上奥さんは笑顔で応えた。

 「影おくり」は長崎で生まれ育った上奥さんが被爆者である祖父母の話から感じ、思ったことを書いた詞。「地元で歌うには相当な覚悟が必要だった。やっと歌う自信がついた」と上奥さん。腹の底から搾り出すような歌声が静まり返った会場に響いた。続く「願い」では雰囲気が一転。軽快なリズムに乗って手拍子が広がった。「まいこちゃんを支える人たちの温かさに心から感動した。厳しい世界だが支える人がいるからこそ自分を信じて頑張れる」と伊藤さんがエールを送ると大きな拍手が起こった。

 「窓から見える坂下ってゆく。あなたの背中が小さくなる」と、長崎の情景を思いながら作った別れの曲「外は雨」をしっとりと歌い上げた上奥さんは、ライブ最後の曲に「風」を選んだ。上京した時の気持ちを素直につづる同曲はデビューCDに収録されている。「東京に旅立つ時、なぜか時津からフェリーに乗って空港へ向かった」と明かすと、会場から笑いとともに「え?」「なんで?」というリアクション。離陸する飛行機の窓から見える景色に不安と期待が入り交じった当時の心境を吐露すると、観客らはうなずきながら話に聞き入った。

 「いつか、ここへ帰ってくると駆け出したあの日」と上奥さんが歌い始めると、観客らも口々に上奥さんに続き手拍子が始まった。全員で大合唱を歌い切った後、鳴りやまない拍手を打ち破るように「もってこい(長崎の方言でアンコールを意味する)」の声が幾重にも響いた。上奥さんがアンコールに用意した曲は「Ever-きっといつかは」。新築の匂いが残る会場から「エバー、エバー」の大合唱が真っ暗な海にこだまする地元最後のライブは、長い拍手に包まれながら終わった。

 上奥さんのライブに合わせ土日を含めた4連休にするため2日間の休暇を取ったという銀行員・小野仁さんのニックネームは「ラスカル」。初ライブで上奥さんのCDを5枚購入したとフェイスブックで紹介したところ、長崎出身の歌手・竹本孝之さんから「ラスカル、男やなあ」とコメントされ「うれしかった」と笑顔を見せる。「実は全く知らなかった。あるスナックのマスターから『会わせたい歌手がいるから、時間を作ってほしい』と半ば強引に勧められた」と振り返る。しかし会ってみると話が弾み「一発でファンになった」とも。小野さんがフェイスブックで仲間にCD購入を呼び掛けたところ、その日のうちにアマゾンの在庫がなくなった。

 上奥まいこ後援会・長崎支部長の加藤聡さんは「きっと全国区になれると信じている。来年は本気で紅白を狙ってもらいたい。地元から全力で応援する」とエールを送った。同後援会・東京支部の森川麻紀さん(長崎市出身)は、「長崎での後援会立ち上げに刺激され、東京在住の長崎出身者も立ち上がった。どの歌もそれぞれに素晴らしい。多くの人に知ってもらうため、東京の仲間たちで協力して地道に広げたい」と意気込む。上奥さんは「皆さんの温かい声援が本当にありがたい。これまで以上に精進する」と応えた。

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