長崎出身の歌手・上奥まいこさんが地元初ライブ-「恋チュン」作曲者も応援に駆け付け

ライブで熱唱する上奥まいこさん(左)と鈴木妙里さん(右)。2人は小中学校を通じての親友

ライブで熱唱する上奥まいこさん(左)と鈴木妙里さん(右)。2人は小中学校を通じての親友

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 長崎港に隣接する出島ワーフ内のカフェ「セントアンドリュース ジガーイン」(長崎市出島町)で7月25日、長崎出身の歌手・上奥まいこさんのセカンドCD「真夏のハレーション」発売記念ライブが開かれた。

作曲した伊藤心太郎さん

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 地元長崎で本格的なライブを開くのは今回が初めて。上奥さんは3歳からピアノ教師の母親の元でクラシックピアノのレッスンを始めたが、少しずつ歌手になりたいという気持ちが膨らみ、17歳の時にピアノを止めて歌手になることを決意。ボイストレーニングや歌のレッスンに通い、地元のバーやミュージックレストランなどで歌っていた2003年、オーディションで準優勝したことをきっかけに歌手を夢見て上京した。

 バックコーラスや仮歌歌手を続けながらデビューのチャンスを根気強く待ち続けた上奥さん。そのデモテープの歌声が作曲家・伊藤心太郎さんの心を激しく揺さぶり、昨年5月に伊藤さんが上奥さんのために書き下ろした「オレンジ色の観覧車」で念願のCDデビューを果たした。ライブには伊藤さんもピアノ演奏で参加。ギター担当の草野よしひろさんとともに東京から応援に駆け付けた。

 伊藤心太郎さんは1960(昭和35)年生まれ。高校時代から音楽に傾倒し始め、立教大学法学部在学中には軽音楽部に所属。当時「メモリーグラス」のヒットで人気者だった堀江淳さんのバックバンドオーディションに合格したことからキーボードを担当したのがきっかけで本格的にプロの道へ進み始める。1983年、「Bakelite Blues Band」でデビュー。その後、さまざまな音楽活動を経て作曲・編曲・監修など広範囲に活躍している。特にAKB48に多くの曲を提供しており、「恋するフォーチュンクッキー」のほか「最後の制服」「制服レジスタンス」「蕾たち」「109」「ゴンドラリフト」「君は気まぐれ」「愛の存在」などの作曲を担当した。

 「歌い手にとって本当に必要なものは、音程の正確さやリズム感ではない。それは当然の前提。一番大事なのは最初の5秒で相手の心に残る『声質』。ほかの条件は努力すれば上手くなれるが、声質は持って生まれたもの」と伊藤さん。「彼女の声は運を持ち合わせているラッキーボイス。夢には出会いが必要。一人の力だけでは決してかなわない。彼女の声を初めて聞いた時、僕にとっても運命の出会いを感じた」と、その当時を振り返る。

 ギターを担当する草野さんも「僕も高校からギターをやってきて、いろいろな人との出会いがあって今がある。伊藤さん、上奥さんと一緒に素晴らしい曲を皆さんに提供できることが何より幸せ」とほほ笑む。

 会場は収容人数を超える100 人ほどの観客が集まり、一部はテラス席での鑑賞となった。ライブは諫早市在住のミュージシャン・古賀涼さんの弾き語りで始まった。古賀さんは上奥さんが信頼を寄せる先輩ミュージシャンの一人。古賀さんの熱唱の後、観客の前に上奥さんが登場すると「まいこ~」「おかえり~」などの声援が次々に飛んだ。草野さんがゆっくりとギターを鳴らし、ステージ中央に立つドレス姿の上奥さんがデビュー曲「オレンジ色の観覧車」を静かに歌いだすと、伊藤さんが滑るようにピアノ伴奏を添えた。次の「Ever-きっといつかは」では雰囲気が一変。軽快なリズムに乗って会場の客も「エバー、エバー」と一緒に口ずさんだ。

 セカンドCDの収録曲「雨の日曜日」では赤い雨傘を差した上奥さん。同曲の紹介で上奥さんは「結婚式は和装がいいけど、プロポーズの言葉は洋風がいいな」とポロリ。会場からは「かわいい」という声が上がった。

 上奥さんはバックコーラスを担当する鈴木妙里さんを紹介。鈴木さんはポスター掲示やチケット販売などライブ当日まで奔走した地元長崎在住のスタッフ。「彼女とは小中学校を通しての親友。彼女がいなければこのライブは実現できなかった」と労をねぎらった。伊藤さんは「長崎は美人が多い。自分のことのように喜んでいます」と会場を笑わせた。上奥さんが「隠しきれないロック魂を持つ男」と、草野さんを紹介すると草野さんはロック調のギター演奏で応え、会場に笑い声と拍手が起こった。その後、「さよなら・ありがとう・ごめんね」「願い」「影おくり」「外は雨」など4曲を披露した。

 ライブ最後の曲「風」は上奥さん自身が作詞。10年前に上京した時の気持ちを素直につづっている。「いつか、ここへ帰ってくると駆け出したあの日」と上奥さんが歌い始めると客らは次々に手拍子を始め、中には目頭をハンカチで押さえる人も。サビに入り「まだ帰れないけれど、この街で強く生きてる」という上奥さんの力強い歌声に合わせ、多くの客が一緒に口ずさんでいた。

 アンコールでは「寄り添い」を披露。続いて上奥さんが「せっかくだから大切な音楽仲間と最後に無謀なセッションをやりたい」と呼び掛けると、弾き語りをした古賀さんや上奥さんと交流のある音楽仲間の人たちが次々に加わり、スティーブン・スティルスの軽快な70年代のヒット曲「Love the One You're With」を全員で熱唱。客席も総立ちとなり「ドゥドゥドゥ、ドゥドゥドゥ」と会場全体が大声で合唱。大きな拍手に包まれてライブが終了した。

 ライブ終了後の取材に上奥さんは「高校生まで自分の声が嫌いで何度も変えようと試みた。その嫌いだった声が私をここに導いてくれた。支えてくれた全ての人との出会いにあらためて感謝している」と笑顔で答えた。「真夏のハレーション」の収録曲は「真夏のハレーション」「雨の日曜日」「外は雨」の3曲で価格は1,500円。全国のCDショップのほか、インターネット通販サイト「アマゾン」などで販売する。

 上奥さんは8月9日19時と20時からの2回、グラバー園(南山手町)のナイトライブに出演。10日は稲佐山野外ステージで、さだまさしさんらが出演するチャリティーコンサート「2014長崎から東北へ」の前座を14時ごろから務め、11日は今年リニューアルされた高浜海水浴場(高浜町)でライブを行う予定。

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