KTNギャラリー(長崎市五島町、TEL 095-827-8452)で現在、「岡野雄一まんが展」が開かれている。
岡野雄一さんは1950(昭和25)年、長崎市生まれ。20歳で上京して漫画家を目指すが挫折。小さな出版社で編集の仕事に携わる。40歳の時に離婚して3歳の息子とともに長崎へ戻り、タウン誌の編集長などを勤める。2000年に父親が亡くなった後、認知症になった母をモデルに漫画を描き始めた。2012年1月、これまで描いてきた記録を残す目的で自費出版本「ペコロスの母に会いに行く」を500冊刊行したことがきっかけとなり、62歳にして運命が大きく動き出す。
自費出版本は口コミで瞬く間に売り切れ短期間で増刷2回、1500冊を売り上げる。同年7月には同じタイトルで再編集した単行本を西日本新聞社から初めて商業出版。翌年には日本漫画家協会賞優秀賞を受賞し、その年の11月には同名の実写版映画が全国で封切られることになる。同作はキネマ旬報日本映画ベストワンを獲得。主演の赤木春恵さんは世界最年長初主演女優としてギネスブック世界記録に認定された。漫画のモデルとなった母・光江さんは今年8月、老衰のため91歳の生涯に終止符を打った。
同展会場には今年10月に刊行された「ペコロスの母の玉手箱」(朝日新聞出版刊)から「木漏れ日の中で」「縫う人」「ケン坊兄ちゃん」「尻拭い行脚」「子を噛む」「フサコおばさん」などをピックアップして展示。新たなエピソードなどを加えた16話を壁面に並べている。原画コーナーでは岡野さんが描いた実物の原画を見ることができる。館内閲覧用にソファの上には「ペコロスの母の玉手箱」1冊が用意されており、感想を書き残すための雑記帳も備える。天井からは岡野さんのCD「祈っとっと」が流れ、CDやサイン本の即売も行う。
12月14日14時からは「岡野雄一、トーク&ライブ」(入場無料)も予定する。期間中はスケジュールが許す限り、岡野さん本人も会場に立ち寄る予定という。入場無料。18日まで。