長崎歴史文化博物館(長崎市立山1丁目)で8月7日、市民が活弁士体験するイベント「活弁士の世界へようこそ」が開催された。
同館で開催中の「大活弁上映会」の一環として行われた同イベント。会場となった同館1階ホールには活弁ファンの市民ら合わせて100人ほどが集まった。中には20代男女の姿もあり、今では珍しい活弁がどんなものなのか興味津々の様子だった。
上映会の演目は「チャップリンの冒険」(1917)、「国定忠治」(1924)、「坂本龍馬」(1928) の3本。
上映会では現役活弁士の麻生八咫(やた)さんと娘の子八咫(こやた)さんが登壇。映写と息がぴったり合ってメリハリが利いた迫力ある舞台に観客らは大きな拍手を送った。
八咫さんは最後の活弁士といわれた池俊行氏の活弁で、今回の演目でもある「坂本龍馬」を見て感動し、活弁の世界に入ったという。一方、子八咫さんは10歳のときに父親の後を追って活弁士として浅草木馬亭でデビュー。現在は東京大学の大学院で活弁の研究も行っているという。
活弁体験は「国定忠治」の名ぜりふを映写を見ながら本番さながらに演じるもの。参加者全員で2回ほど練習した後、登壇して演じる希望者を募った。恥ずかしがりながらも3人ほどが登壇し、見よう見まねで「国定忠治」の活弁に挑戦した。
上映会に参加した20代女性は「活弁を初めて体験したが、迫力がありとても面白い舞台だった。若い人も絶対楽しめると思う。機会があれば今度は登壇したい」と話した。
主催した無声映画上映実行委員会の増田泰之委員長は「今回上映した『坂本龍馬』は、1928(昭和3)年に桂浜に龍馬像を建立した青年たちが、当時はまだ知られていなかった龍馬を全国に知らせるために、人気俳優で映画会社の社長でもあった坂東妻三郎に映画化するよう嘆願してできた映画。自分も20年以上前に長崎の龍馬像建立に携わって奔走した思い出がある。少しでも当時の青年たちの想いが活弁を見る人に伝わればと思う」と期待を寄せた。