布ナプキン専門店「りぼん」(長崎市万屋町、TEL 095-893-8776)で6月6日、長崎在住のデザイナー・中江昭久さん(65)の手描きイラスト展が始まる。
中江さんは1949(昭和24)年、長崎市生まれ。長崎西高校を卒業後、3年間の浪人生活を経て1970(昭和45)年、多摩美術大学立体デザイン学科に入学する。1974年からヨーロッパ、北アフリカをヒッチハイクで放浪。そのうちの3カ月間はスウェーデン・ストックホルムのレストランでアルバイトをしながら北欧のデザインを学んだ。1976(昭和51)年、大学を卒業して洋菓子メーカー「モロゾフ」(神戸市)に入社。1995(平成7)年に食品の通信販売会社に転職するまで20年間、店舗デザインやイベント運営など、幅広い業務を経験した。
2010(平成22)年、独立してデザイン事務所「TOMATO DESINE」(出島町)を設立。名前の由来は「TOday’s work MAkes TOmorrow」それぞれの文字から抜き出したもの。和訳すると「今日がんばれば、明日はもっと良くなる」という意味になる。
中江さんにはモロゾフ時代の忘れられない思い出がある。「28歳くらいのころ、大阪・阪神百貨店内に出店したチーズケーキ専門店のオープンスタッフを担当したが、カウンターの椅子を増やせば売り上げが上がると思い込み、上司に無断で椅子を増やしたことがある。オープンしたらあまりにきゅうくつ過ぎてお客さまが入れず、オープンイベントの様子を見学に来た社長から烈火のごとく叱られた。『ここで反省しろ』と、子どもみたいに2時間立たされた」と笑いながら話す中江さん。
「もう40年近く昔のことだが、振り返れば本当にやんちゃなことを山ほどやった。直属の上司は笑って許してくれたが、当時の関係者の皆さんにわびて回りたい」とも。
手描きのイラストにこだわってきた中江さんは、客から預かった写真や資料を参考にしながら1週間ほどで作品を仕上げるという。イラストを使った名刺やパッケージなども得意だが、最も得意な分野は手描きイラストの年賀状制作。同展ではこれまでに描きためた手描きイラストから厳選した作品を展示する。
「仕事が趣味になったのか、趣味が仕事になったのか分からない。こんな楽しい仕事を辞めてしまうのはもったいないので、無謀にも多くのサラリーマンが定年退職する61歳で起業した。あっという間に5年も経ったが、不思議な縁で多くの人たちに支えてもらっている。これからも楽しんで仕事を続けたい」と意気込む。趣味は「オールディーズ」(1950年~60年代に流行した英米ポップス音楽)観賞。夢は70歳までに学生時代の仲間たちと1カ月間のヨーロッパ旅行を実現させること。現在、英会話を勉強中という。
営業時間は11時~18時。水曜定休。観覧無料。6月14日まで。