史跡出島(長崎市出島町)で1月16日、復元工事現場の仮囲いに市民の全身写真を掲載する「出島仮囲いプロジェクト」撮影会が開かれた。
出島は1634年に江戸幕府の鎖国政策の一環として築造された、敷地面積およそ1.5ヘクタールの扇型人工島。1922(大正11)年に「出島和蘭商館跡」として国の史跡に指定されている。
出島復元事業の完成予定は2050年。被爆から6年後の1951(昭和26)年、100年後の出島完全復元を目指して事業がスタートした。今年で65年目を迎える。
1978(昭和53)年に出島史跡整備審議会を設置。その後、長年の調査・審議を経て1996年から復元事業が本格的に始まった。復元事業計画は大きく2つに分けられており、「短中期計画」では3段階に分けて敷地内の建物を順次復元。「長期計画」では江戸時代と同じように四方に水面を確保して、19世紀初めの扇型人工島の完全復元を目指す。
「出島復元整備事業」「出島表門橋架橋」「中島川公園整備」に加え、さまざまな広報活動に取り組む長崎市。その一環として、出島表門橋架橋工事の仮囲いに市民のメッセージと写真を掲載する「出島仮囲いプロジェクト」を展開する。現在掲載中のものに加えて、昨年11月から今年1月15日の募集期間に応募した市民の撮影会を行った。参加した市民らは専属カメラマンの指示に従って全身ポートレート写真の撮影に臨み、出島にまつわるアンケート調査に答えた。
カメラマンに促され、両手で扇型を表現する「出島ポーズ」でカメラに納まる応募者。「はい、出島!」の掛け声とともにポーズが決まった瞬間、シャッターが鳴る。応募者全員を2月中旬まで数回に分け、1人(または1組)ずつプロカメラマンが撮影する予定。写真は4月ごろから順次仮囲いに掲載する予定で、掲載期間は「出島表門橋」が完成するまで約2年間。
撮影会に参加した市内在住の30代の女性は「道行く人が私の写真を見て笑顔になれるように、満面の笑みで撮影に臨んだ。掲載が待ち遠しい」と話す。
長崎市出島復元整備室の岩永貴博係長は「工事中はいろいろ不便をかけると思うが、誰もが完成を心待ちにしたくなるような楽しい仮囲いにしたい」と意気込む。