長崎市内の幼稚園で6月5日、ホラーゲームアトラクション企画「聖オバケリア幼稚園」が行われる。
長崎市出身の「お化け屋敷のスペシャリスト」マイケルティー・ヤマグチさんがプロデュースし、長崎市内に実在する幼稚園をまるごと「お化け屋敷」に変える同アトラクション。
マイケルティーさんは、「リアル鬼ごっこ」「心霊病棟」「渋谷怪談」などの映画作品で、「鬼」のマスク造形美術やゾンビなどの特殊メイクを担当した。地元の西洋館(長崎市川口町)で手掛けたお化け屋敷イベント「パンドラの箱」は、20年以上経過した今でも「怖かった」と記憶している市民が多い。1992年ごろから人通りが少なくなった商店街や廃業した施設など、全国のさまざまな場所を集客施設に生まれ変わらせる「お化け屋敷リノベーション」の提唱者としても知られる。
昨年2月、「長崎ランタンフェスティバル」期間中に19日間限定で開催した「オバケリア廃墟ビルお化け屋敷-サイコブサイク」には、九州のみならず関東や関西方面からも多くの観光客が訪れ、用意された2000席のチケットは完売。テレビや映画企画のほか、AKB48などのロケが困難なアイドル専用にお化け屋敷をプロデュースしたり、小学校から大学、専門学校などで「お化け屋敷」に関する指導をしたりするなど、「お化け屋敷をメディアコンテンツとして昇華させる」という理念で幅広く活躍する。
今回のアトラクションのきっかけは、長崎に何か貢献したいと考えていたマイケルティーさんが、地元のラジオ番組に出演することを幼稚園関係者が知ったことから。マイケルティーさんを園長に紹介したところ、意気投合し企画が実現した。
同アトラクションは毎年の節分で、園長が扮(ふん)する鬼に驚かされ、泣かされてばかりの園児らが「このままでは幼稚園児としてメンツが立たない」と奮起するところから物語が始まる。
園児らの前に黒い帽子をかぶった謎の「死神のような男」が現れ、園児らは見る見る悪魔に変貌。次々に先生たちに襲い掛かる園児らは、憎い園長を園内のどこかに閉じ込める。子どもたちを元の姿に戻せるのは「お父さん」「お母さん」「おじいちゃん」「おばあちゃん」などの血縁者だけ。血縁者らは変わり果てた姿の「わが子」を見つけ出し、かわいかったころの記憶を取り戻させ、広大な園内で先生たちを助けながら情報をつかむ。最後は園長の監禁場所を探し出して園の平和を取り戻すというストーリーを設定する。
マイケルティーさんの指導を受けた特殊メイクが園児一人一人に施され、園児らは「ホラー映画レベル」の悪魔に変身する。招待された血縁者のみが参加できる非公開イベントのため、取材する報道関係者のみに幼稚園名やスケジュールが通知され、血縁者らも本番当日まで実際の特殊メイクを見ることはできない。「世界最年少お化け屋敷」としてギネス世界記録認定も試みるという。
きっかけを作った関係者は「現在の園の施設が本年度末で建て替えられる。何か思い出になる企画ができないかと思っていたので、園児にとっても保護者にとっても、一生の思い出になると思う」とほほ笑む。