長崎港口の女神大橋で7月21日、通常は部外者立ち入り禁止の桁下から大型客船を見下ろす夏休み特別企画「女神大橋クルーズ船親子さるく」が開催された。
小学5年生または6年生の子どもと保護者1人の組み合わせで4組8人の親子が参加した同イベントの集合時刻は8時30分。参加者らは県道路建設課が用意したヘルメット、軍手、安全ベルトを指導を受けながら装着して担当者から注意事項などを聞いた。「世界中のほぼ全ての大型客船が通過できるように水面から橋の下まで約65メートルある」という担当者の説明に、多くの参加者が「なるほど」とうなずいた。
女神大橋の歩道上を徒歩で移動中、ガイド役のNPO法人「長崎の風」代表の黒田雄彦さんが「向こうに見える三菱重工の大型クレーンに書かれた三菱マークはテニスコート1面の大きさ。クレーンの中には国会議事堂が納まる」と解説すると、「へ~」とうなずきながら内容をメモする子どもも。黒田さんは歩道の途中にある「のぞき窓」から下の道路を見せたり、女神大橋に関するミニクイズを出題したりして参加者らを和ませた。
主塔入口部から一人ずつ順番に急な階段を下りて桁下部に到着した参加者らは担当者の注意事項を守りながら客船の登場をじっと待った。30分ほど経過後、「見えた」という合図で港外側先端部に集まり、沖合いに見える客船の姿をスマホやデジカメで追う参加者ら。「警戒船が出てきた。その後ろに出てきたのは大型船を誘導するタグボート。大型客船はタグボートが描く線の通りに進んでくる」と担当者が説明した直後、赤い旗を立てて進んでいた警戒船が外に出ようとする貨物船に近づいてスピーカーで呼び掛けた。
「大型客船の来よりますけん、危なかですよ」。警告に従って方向を変える貨物船を見ていた参加者の一人は、「長崎弁で警告してる」と腹を抱えて大笑い。目の前に迫ってきた大型客船「マリナー・オブ・ザ・シーズ」(約13.8万トン)に圧倒され、「大きいプールがある」「バスケットしている」「65メートルもあるのに橋の下にぶつかりそう」と参加者らは興奮気味に話した。客船に向かって手を振ったりスマートフォンで撮影したりしたが、「あっという間」に客船は前を通過。参加者らは港内側の先端部に集まって客船の後ろ姿を見送った。船が外国語では女性名詞に当たることから「豪華客船は貴婦人。この船のお尻は美しい」と黒田さんが解説をした。
客船見学終了後、参加者らは主塔部の一部に特別に立ち入ったり、橋の上で記念撮影をしたりして名残惜しそうに楽しんだ。担当者から自身の名前入り「見学証明書」を子どもたちが一人ずつ受け取り、10時20分ごろ終了した。
古賀小学校5年生の榎萌々花さんは「とても楽しかった」と、母親のいづみさんに笑顔を見せた。南長崎小学校6年生の梅木景脩さんは「客船を見るのは3回目だが、とても迫力があった」と話す。父親の修さんは「貴重な機会なので午前中だけ休みをもらった。息子とのいい思い出ができた」とほほ笑む。
次回実施は8月31日。16時30分から「クァンタム・オブ・ザ・シーズ」(約16.9万トン)の出港を見送る。「夏休み最終日の夕方は今回よりかなり大きい。期待してほしい」と黒田さん。