NPO「長崎の風」がDVD付き書籍 「鳥が見た長崎の世界遺産」製作

長崎の風の増田泰之事務局長

長崎の風の増田泰之事務局長

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 NPO法人「長崎の風」(長崎市)が9月1日、ドローンによる撮影動画付き書籍「鳥が見た長崎の世界遺産 DVD編」(フジデンシ出版刊)を発売した。

軍艦島での撮影風景

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 長年にわたり長崎市内における観光ガイドの一翼を担ってきた同法人。その経験で培ったノウハウの集大成として同書籍を刊行した。理事長の黒田雄彦さんは「長崎は450年前の開港以来、中国や西欧諸国の多種多様な文化を積極的に受け入れてきた。鎖国時代は海外に門戸を開いて発展した唯一の町としての歴史を持つ。各世界遺産の空撮写真に、それぞれ詳細な解説を添えた」と説明する。

 「ドローンでの撮影許可を取り、航空機では飛べない高度300メートル以下の『鳥の目』からオリジナル映像を撮影した。同じ空撮のようだが、なかなか見られない視点からの面白い映像に仕上がった。わずか10分ほどだが、鳥になったつもりで楽しんでもらえれば」とも。動画は付属DVDに収蔵する。

 書籍はB5サイズ、14ページ。冒頭の「長崎全体マップ」では、世界遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の中から長崎市内にある世界遺産を中心に紹介する。「旧グラバー住宅」はスコットランド出身の商人「トーマス・ブレーク・グラバー」が住んでいた建物で、グラバーは「小菅修船場」(1869年築造)、「高島炭坑」(1868年、佐賀藩と共同経営開始)などの事業を手掛けた。

 「端島(はしま)炭坑」(通称=軍艦島)には見開き2ページを使い、島全体の写真4カットと「崩れゆく建物」「端島神社」「中ノ島」のテーマで1カットずつ紹介。最盛期には5000人を超す住民が生活し、東京の9倍の人口密度(当時の比較)に達したという。端島は1974(昭和49)年に閉山し、同年4月に無人島になった。

 次の見開き2ページでは三菱重工長崎造船所の施設を紹介。「旧木型場」は長崎造船所に現存する最古の建物で、1898(明治31)年に鋳物製品の鋳型製造用の木型を作る工場として建設された。現在は資料館として一般公開されている(事前予約制)。

 「ジャイアント・カンチレバークレーン」は、1904(明治42)年にイギリスから輸入された日本初の電動クレーン。現在も稼動している。「第三船渠(せんきょ=造船設備、一般にドックと呼ばれる)」は1905(明治38)年に完成した大型船渠。当時設置されたイギリス製の電動排水ポンプは110年経過した現在も稼動している。「占勝閣(せんしょうかく)」は第三船渠を見下ろす丘に立つ木造洋館で、1904(明治37)年に長崎造船所長の邸宅として建設されたが、実際には所長宅ではなく迎賓館として利用されてきた(以上、非公開)。

 そのほか「大浦天主堂」「東山手十二番館」「東山手甲十三番館」「旧香港上海銀行長崎支店」「出島商館跡」などのほか、山口や鹿児島、佐賀などの産業革命遺産を紹介する。

 DVD映像は4つのチャプターに分けられており、順に「鳥が見た長崎の軍艦島」(3分13秒)、「鳥が見た長崎の世界遺産」(2分57秒)、「鳥が見た長崎の文化遺産」(2分35秒)、「鳥が見たその他の明治日本の産業革命遺産」(2分50秒)で構成する。撮影・編集は「鳥が見た沖縄の世界遺産 DVD編」などの空撮作品を手掛けた大川純一さん。監修は黒田理事長が担当した。

 価格は1,000円。ネット販売のほか、全国の書店、史跡出島売店、グラバー園出口売店、東山手甲十三番館(国登録有形文化財)などで取り扱う。

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