長崎の老舗菓子店「花月堂」(長崎市富士見町、TEL 095-861-0627)が販売している似顔絵ケーキが10月、「人面ケーキ」と名付けられた。
「リアル過ぎてでき上がりを見るのが怖い」と注文した客の間で話題を呼んでいる同商品。
15年ほど前から似顔絵ケーキを販売している店主の久松務さんは「作る早さは負けないので、注文の翌日渡しでも大丈夫」と自信を見せるが、妻の智恵子さんは「でき栄えに差があり過ぎるのが難点」と困惑した表情を見せる。
注文客の一人から「人面ケーキ」と名付けられ、「似顔絵ケーキより近いかもしれない」と感じた久松夫妻は商品名として採用したという。店内では過去の人面ケーキの写真アルバムを見ることもできる。
同店は務さんの父親が約60年前に創業。洋菓子職人として約50年のキャリアを持つ務さんによると、高校生だった16歳のころから父の指導の下、洋菓子職人の修業を始めたという。「卒業後はどこかの大きな店で修業するつもりだったが、高校3年の時に母が急死したため、そのまま家業を引き継ぐことになった」と振り返る。
務さんの人面ケーキは「とても似ている」と満足する人が多い一方、「リアル過ぎて怖い」という声も少なくないという。智恵子さんによると、写真を基に製作する似顔絵ケーキを務さんがあまりにも忠実に再現するため、智恵子さんが「女性は特にマイルドに描いてほしいはず」と女性の立場から注意を促すという。しかし、生真面目な務さんは精巧に再現。智恵子さんはでき上がったケーキを見て「これを渡していいのだろうか」と戸惑うことも多いという。
10月10日に75歳を迎えた父・岩崎健典さんの誕生祝いに似顔絵ケーキを注文したという、娘の由美さんは、申し訳なさそうに手渡す智恵子さんから完成したケーキを受け取った際、「そっくりだけど風呂上がり?と微妙なでき栄えに戸惑った」と振り返る。「父にケーキを手渡しながら、私には絶対贈らないでと念押しした」とも。
ケーキは生クリームと生チョコの2種類を用意する。価格は2,700円~5,980円(サイズにより異なる)。ガナッシュケーキは2,900円~6,000円(同)。人面(似顔絵)デコレーションは最初の1点が540円。2点目以降は1点につき324円を加算する。
営業時間は9時30分~20時30分。第1・第3火曜定休。