長崎時津町西時津郷七工区で7月15日、「第46回時津町ペーロン大会」が開催され、町内から10のペーロンチームが参加し、熱い競漕(きょうそう)が繰り広げられる。
ペーロンは長崎で夏季に行われる伝統的な舟競争のことで、毎年各地で大会が催される。45尺(13.6メートル)ほどの細身の和船に漕手24人と舵取りや太鼓打ち、銅鑼打ちなど4人が乗り込み、漕手が前向きに櫂(かい)を構えて太鼓や銅鑼の音に合わせてこぐことで進む。他の地区では漕手の人数が26人の大会もある。中国の華中、華南一帯で行われていた端午節の竜舟競渡(ドラゴンボートレース)が、江戸時代に長崎へ伝わったものが元になっていると言われている。
24人が一斉に櫂をこぐ勇壮な姿が印象的なペーロンだが、子々川郷のチームで副キャプテンを務める坪川哲平さんは「太鼓や銅鑼のわずかなリズムの狂いでも船の進み方が左右されるシビアな競技だ」と話す。地域によってこぎ方も微妙に変わるのだという。
レースでは、スタート地点から沖に設けられたブイまで650メートルこぎ進んだ後、ターンしてゴールまで550メートルのスピードを競うことから、細長い船を素早やく回頭させる技術も求められる。
大会前週の日曜に各地区での練習が解禁となることから、大会の競技委員長を務める同町の町議会議員・山脇博さんは「太鼓と銅鑼の音が夏の訪れを告げる風物詩になっている」と話す。各地域では選手やサポートとして出場する40人前後のチームに加え、練習後の炊き出しなど地域が一丸となって参加することから「地域の絆や結束を強めることにも一役買っている大切なイベント」と強調する。
同町七工区周辺には駐車場も用意され、護岸の目前で繰り広げられる熱戦を楽しむことができる。地域対抗戦は2グループに別れた10地区のチームがそれぞれ4レース行い、合計タイムで順位が決まる。「第33回時津町中学生ペーロン大会」も同時開催され、中学2・3年生が2グループに別れ、それぞれ2レースでの合計タイムで競うクラス対抗戦のほか、クラブ対抗戦やデモンストレーション、子供ペーロンも行われる。
坪川さんは「チームプレーが重要で、トップを独走する船がちょっとしたことで失速することもある奥深い競技。いろんな見方で観戦を楽しんでほしい」と話し、山脇さんは「4レースの合計タイムで競うのはこのペーロン大会だけ。地域に根ざした伝統行事だが、多くの人に魅力に触れてもらえる機会になれば」と呼びかける。
8時20分から開会式が行われ、レース開始は9時。問い合わせは大会実行委員会事務局(時津町公民館内 TEL 095-882-2975、担当:山口さん)まで。